不動産売却の注意点を徹底解説|売却前・契約時に気をつけたいポイントとは?
不動産を売却するときは、さまざまな準備や手続きを行わなければいけません。加えて、大きなお金が動くことになるので、失敗を防ぐために正しい知識を身につけておくことが大切です。
とはいえ、不動産売却の流れは複雑なので、「どう手続きを進めればよいのか」「何に気をつけるべきか」と、わからないことが多くて不安を抱えている方もいることでしょう。
本記事では、不動産売却の際に知っておいてほしい注意点を紹介します。プロセスごとのポイントを押さえて、スムーズな売却を目指しましょう。
不動産を売却する前の注意点
まずは、不動産売却を行う前に知っておいてほしい注意点を説明します。
気をつけたいのは、以下の6点です。
住宅ローンを完済する
不動産の現況を調査する
市場価格を調査する
売却スケジュールを把握する
売却にかかる費用を把握する
売却方法を決める
各注意点を詳しくみていきましょう。
1. 住宅ローンを完済する
まずは、住宅ローンの残債を確認し、完済の計画を立てましょう。
住宅ローンを返済中の物件には、「抵当権」が設定されています。抵当権とは、住宅ローンの返済が滞ったときに、貸主である銀行が不動産を取得できる権利です。
不動産を売却するときは、住宅ローンを完済して「抵当権抹消」の手続きを行っておく必要があります。この手続きを済ませないと、新しい買主が購入した物件であっても、銀行に差し押さえられてしまうリスクがあるためです。
トラブルを防ぐためにも、住宅ローンは物件を引き渡すまでに完済できるよう計画を立てておきましょう。完済が難しい場合は、住み替えローンの活用を検討してみてください。
2. 不動産の現況を調査する
不動産の現況を調査することも大切です。
調べておきたい項目としては、次のようなものが挙げられます。
不動産の名義が売主と一致しているか
土地や建物の面積
土地の境界
土地の用途
地盤
土壌汚染の有無
担保の有無 など
不動産の状況について調べたいときは、登記簿謄本を確認するのが手っ取り早いでしょう。加えて、購入時のパンフレットや契約書など、さまざまな資料を併用して調査します。
ただし、登記簿謄本や当時のパンフレットの内容は、現況と異なる場合もあるため注意が必要です。
特に、増改築が登記簿謄本に反映されていない場合は、買主が住宅ローンの審査を受けるとき不利に働く可能性があります。売却前に正しておきましょう。
3. 市場価格を調査する
不動産の現況を把握できたら、市場価格を調査しましょう。不動産の適正価格を知っていれば、売却時の交渉を有利に進められる可能性があります。
不動産の市場価格を調べる方法としては、次のようなものが挙げられます。
国土交通省が管轄する、不動産の取引価格や地価公示、47都道府県の地価調査のデータが検索できる情報サイト。 | |
不動産流通機構が運営する、実際に売買が行われた不動産の価格を調べられる情報サイト。 | |
不動産会社の査定サービス | 各不動産会社が提供する、無料の査定サービス。 |
売却予定の不動産の価値をふまえて希望金額のベースを決めておくと、不動産会社や買主に流されずに交渉を進めやすくなります。
4. 売却スケジュールを把握する
スムーズに準備や手続きを進めるためにも、不動産売却のスケジュールを確認しておきましょう。
売却の一般的な流れは、次のとおりです。
不動産会社による査定
不動産会社の選定
不動産会社との契約
内覧の実施
売却契約
引き渡し
なお、不動産によっては途中で解体やリフォームを行ったり、内覧を行わなかったりすることもあります。
不動産が売れるまでの平均期間は3~6か月程度だといわれていますが、それ以上かかることもあるため、スケジュールには余裕をもっておきましょう。できるだけ早く売りたい場合は、販売価格を下げるのもひとつの手です。
5. 売却にかかる費用を把握する
不動産を売却するときは、さまざまな手数料がかかります。売却価格をそのまま受け取れるわけではないため、注意が必要です。
一般的に、売却価格の4~6%程度が諸費用や仲介手数料としてかかるといわれています。
必要になる費用の一例としては、次のようなものが挙げられます。
費用の種類 | 費用の目安 |
仲介手数料 | (売却額×3%)+ 6万円 + 消費税 |
印紙税 | 1~2万円 |
抵当権抹消費用 | 1万円前後 |
譲渡所得税・住民税・復興特別所得税 | ● 5年以下:課税譲渡所得の39.63% ● 5年超:課税譲渡所得の20.315% ● 10年超:課税譲渡所得の14.21% ※売却年の1月1日時点での保有期間による |
必要な費用は物件によって大きく異なります。他にも、解体費用や測量費用などが発生する場合があります。
6. 売却方法を決める
不動産を売却する方法は、大きく3つの種類に分類できます。
仲介
買い取り
個人売買
それぞれの特徴をふまえ、希望にあった売却方法を選ぶことが大切です。
特に、不動産業者に仲介や買取を依頼するときは、複数の業者に査定をお願いしましょう。価格だけではなく、営業担当者との相性や対応のスピーディーさ、実績なども確認してから契約に進むと失敗を防げます。
以下では、各売却方法の違いを説明します。
仲介
仲介とは、不動産会社に買主を探してもらう売却方法です。
不動産会社がもつノウハウを駆使して買主を探せるので、希望に近い販売価格で売れやすく、買主も見つかりやすいというメリットがあります。また、売買活動や契約をサポートしてもらえる点も、うれしいポイントです。
なお、不動産会社に仲介を依頼するときは、次のうちいずれかの「媒介契約」を結ぶことになります。
| 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
複数社との契約 | できる | できない | できない |
個人売買 | できる | できる | できない |
レインズへの登録 | 任意 | 登録しなければいけない | 登録しなければいけない |
契約期間 | 自由に設定可能 | 3か月以内 | 3か月以内 |
営業状況の報告義務 | 任意 | 2週間に1回 | 1週間に1回 |
契約によって売却活動の進め方が異なるため、しっかりと確認のうえ決定しましょう。
専任媒介契約や専属専任媒介契約には、買主が見つかりやすいというメリットがあります。しかし、営業担当者の腕によっては、希望どおりに売却できない可能性があるというデメリットにも気をつけなければいけません。
また、「囲い込み」にも注意する必要があります。囲い込みとは、物件情報を市場へ公開せずに自分たちで買主を見つけ、より多くの仲介手数料を得ようとすることです。
囲い込みに遭うと、より多くの購入希望者に情報を届けたり、条件のよい買主を見つけたりすることが難しくなります。囲い込みを防ぐためにも、信頼できる業者に仲介を依頼することが大切です。
買い取り
買い取りは、不動産会社に不動産を買い取ってもらう方法です。不動産会社自体が買主になるため、短時間で売却が完了する点が大きなメリットです。
ただし、買い取りの場合、他の方法と比べると売却価格が低くなる傾向にあります。複数社に査定を依頼し、納得できる価格を提示してくれる業者に売却しましょう。
個人売買
一般的ではありませんが、自分で買主を探して売却するという手もあります。仲介や買い取りとは違って不動産業者を介さないので、手数料が発生しない点がメリットです。
ただし、売買活動や契約の締結などすべての手続きを売主自身が行わなければいけません。時間や手間がかかり専門知識も必要になるので、一般の方がトラブルなく売買を行うことは難しいでしょう。
不動産を売却するときの注意点
実際に不動産の売却を行うときは、以下のような注意点を意識する必要があります。
最適な売却時期を見極める
内覧の準備をしておく
リフォームは慎重に行う
説明義務を果たす
各注意点の詳細を説明します。
1. 最適な売却時期を見極める
不動産を売るときは、時期を見極めることが大切です。時期によって、不動産が売れるかどうかが大きく変わってきます。
新生活が始まる3月は、もっとも取引件数が多くなります。そこから逆算して年末から1月くらいに情報を出しておくと、売買活動や契約をスムーズに進められるでしょう。
反対に、1月と8月は取引件数が減る傾向にあります。まったく売れないわけではありませんが、売却までに時間がかかる可能性があることは押さえておきましょう。
2. 内覧の準備をしておく
内覧が始まる前までに、物件をきれいにしておきましょう。同じ物件でも、汚れたままの状態ときれいに掃除されている状態を比べると、後者のほうが印象はよくなります。
玄関や水回り、部屋はもちろんのこと、窓ガラスや床の隅、ベランダ、バルコニーなども内覧の際に確認されます。念入りに掃除しておきましょう。
なお、引っ越し前でも内覧は可能ですが、部屋の中に何もない状態のほうが売れやすい傾向にあります。引っ越し前に内覧を行うときは、できるだけ荷物を減らしてすっきりさせておくとよいでしょう。
3. リフォームは慎重に行う
不動産を売却する際、少しでも売れやすくするためにリフォームを検討する方もいるでしょう。しかし、リフォームは必ずしも必要なものではありません。
近年は、リノベーションを目的に中古物件を探す方が増えてきました。そのため、リフォーム費用を上乗せした金額で売却するより、そのままの状態で少しでも安く売ったほうが買い手が付きやすいこともあるのです。
まずはそのまま売り出してみて、どうしても売れない場合はリフォームを検討するというのもひとつの手です。
関連記事:不動産売却前にリフォームは不要|査定額を上げるコツも詳しく紹介
4. 説明義務を果たす
不動産の売り主には、説明義務があります。言いにくいかもしれませんが、住宅の欠陥についてはしっかりと説明しておきましょう。
買主に伝えるべき事項を伝えずに売却した場合、説明義務違反だと判断され、損害賠償請求をされる可能性があるため注意が必要です。
また、安易に口約束することはトラブルにつながります。買主と約束をするときは、些細なことでも不動産会社や書面を通してやり取りすることを徹底しましょう。
不動産売却の契約における注意点
買主が見つかり契約に進んだあとも、気をつけたいポイントはたくさんあります。
しっかりと契約書を読み込む
余裕をもって準備する
確定申告を忘れずに行う
ここからは、契約前後に知っておきたい注意点をみていきましょう。
1. しっかりと契約書を読み込む
不動産売買に関する契約書は、すみずみまでしっかりと読み込んでください。契約後は内容の変更ができないため、契約書の内容を理解したうえで締結し、失敗やトラブルを防ぐ必要があります。
仲介や買い取りの場合、契約書は不動産会社が作成することが一般的です。直接取引の場合は、売主もしくは買主のどちらかが契約書を作成することになります。どのような場合にせよ、双方が納得できる内容の契約書を取り交わすことが大切です。
契約書の内容に不安がある場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。
2. 余裕をもって準備する
不動産売買の契約を締結するときは、書類集めや名義変更などやるべき準備がたくさんあります。買主の方に迷惑をかけることがないように、余裕をもった早めの対応を心がけましょう。
特に、書類に関しては取得までに時間がかかるものがいくつかあるため、契約が決まった段階で取り寄せておくと安心です。
また、契約締結後はすみやかに不動産の名義を変更する必要があります。登記まわりの書類集めや手続きを自分で行うことが難しい場合は、司法書士に依頼するとスムーズです。
3. 確定申告を忘れずに行う
不動産売却で譲渡益が出た場合は、売却した翌年の2月中旬から3月中旬までの間に確定申告を行いましょう。
確定申告は、1年間に得た所得の合計を税務署に報告し、納税額を確定する手続きです。会社員は、年末調整を行うことで会社側に税額の過不足を調整してもらえますが、不動産売却益が発生したときは、自分で確定申告をしなければいけません。
確定申告を怠ると、無申告加算税と延滞税が課されます。忘れずに行いましょう。
不動産種類別の売却時における注意点
最後に、不動産の種類別に押さえておきたい売却時の注意点を5つ紹介します。
相続不動産の場合
賃貸不動産の場合
遠方の土地の場合
古家が残っている場合
住み替えを予定している場合
それぞれの詳細をみていきましょう。
相続不動産の場合
相続した不動産を売却するときは、不動産の名義が売主になっているかどうかを確認しておきましょう。不動産が被相続人名義のままになっている場合は、土地と建物それぞれに対して「相続登記」を行う必要があります。
また、複数の相続人が所有する「共有不動産」の場合、全員が同意していなければ売却することができません。個人の判断で売却しないように注意してください。
相続した物件によっては、特別控除や軽減税率の適用が受けられる可能性があります。使える制度がないか、不動産会社や税理士に相談してみるとよいでしょう。
賃貸不動産の場合
賃貸物件を売却するときは、入居者はそのままに、物件の所有者だけが変わる「オーナーチェンジ」と呼ばれる手法がとられます。物件売却の際に入居者から承諾を得る必要はありませんが、売却後はオーナーが変わった旨をしっかりと伝えておきましょう。
場合によっては、入居者が物件購入を希望することもあるかもしれません。入居者が購入してくれれば、あらためて買主を探す必要がなくなります。念のため、入居者の意思を確認してみるとよいでしょう。
遠方の土地の場合
不動産の売買は、基本的に買主と売主、不動産業者の三者立ち合いのもとで行われます。しかし、売却したい不動産が遠方にあり、立ち合いをすることが難しいケースもあるでしょう。
その場合は、次のような方法が検討できます。
郵送で手続きを進める「持ち回り契約」
知人や親族に依頼する「代理契約」
司法書士に依頼する
ただし、どのような方法をとるにせよ、仲介や買い取りを依頼する不動産会社は売主が探さなければいけません。
大切な不動産を任せる業者は、可能であれば現地で顔を合わせて選びたいものです。オンラインでも打ち合わせはできますが、トラブルを防ぐためにも、1度は対面で打合せしておくことを推奨します。
古家が残っている場合
古くなった実家や空き家を処分する場合、「建物を解体したほうが売れるのでは」と考える方は少なくありません。しかし、古家の解体は慎重に行うことをおすすめします。
近年はリノベーションニーズが高いため、古い物件でも売れる可能性があります。また更地にすると、固定資産税の軽減措置が受けられなくなるため注意が必要です。
まずは古家を残したまま売却に出してみて、反応に応じて解体やリフォームを行いましょう。
住み替えを予定している場合
住み替えを予定している場合は、先に新居を購入する「購入先行」と先に住宅を売る「売却先行」のどちらにするかを慎重に判断する必要があります。
それぞれのメリット・デメリットは、次のとおりです。
| メリット | デメリット |
購入先行 | ・ゆっくり新居を探せる | ・売却価格が決定していないので、資金計画が崩れる可能性がある ・物件が売れなかった場合、二重ローンになる |
売却先行 | ・資金が確定してから新居を購入できる | ・引き渡しまでに出ていく必要がある ・仮住まいが必要になり、余計な費用がかかる可能性がある |
どちらにも一長一短はありますが、物件が希望価格で売却できなかったときのことを考えると、売却先行のほうがリスクを抑えられます。
なおマイホームを買い替えるときは、譲渡所得税の納付を新居の売却時まで繰り延べられる、「住み替え特例」の適用が受けられる可能性があります。売却する住宅や購入する住宅には細かい条件が定められていますが、適用できれば資金面での負担を減らせるため、積極的に活用していきましょう。
住み替え特例については、国税庁のサイトで詳しくご覧ください。
参考:国税庁:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例
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