不動産売却で必要になる書類一覧|個人・法人の違いや入手方法
不動産を売却するときは、多くの書類を準備しなければいけません。なかには取得に手間や時間がかかるものもあるため、必要な書類を把握して早めに準備をしておくことがおすすめです。
この記事では、不動産を売却するときに必要となる書類の種類一覧と入手方法を解説します。いつどのような書類が必要になるのかを知って、スムーズに不動産売買を進めましょう。
関連記事:不動産売却のベストタイミングは?不利な時期や売り時を逃さないコツも解説
不動産売却で必要になる書類一覧表
不動産売却で必要になる書類を一覧でまとめました。
書類をそろえる際のチェックリストとしてご活用ください。
書類 | 一戸建て | マンション | 土地 | 必要なタイミング |
本人確認書類 | 〇 | 〇 | 〇 | 媒介契約時・売買契約時・引渡し時 |
実印・印鑑証明書 | 〇 | 〇 | 〇 | 売買契約時・引渡し時 |
登記済権利書 | 〇 | 〇 | 〇 | 媒介契約時・売買契約時・引渡し時 |
固定資産税納税通知書 | 〇 | 〇 | 〇 | 媒介契約時・引渡し時 |
間取り図 | △ | △ | × | 媒介契約時 |
建築確認済証 | △ | △ | △ | 媒介契約時 |
管理規約 | × | △ | × | 媒介契約時 |
土地測量図 | 〇 | × | 〇 | 媒介契約時・売買契約時・引渡し時 |
建築設計図書 | △ | △ | × | 媒介契約時 |
耐震診断報告書 | △ | △ | × | 媒介契約時 |
地盤調査報告書 | △ | △ | △ | 媒介契約時 |
設備表 | 〇 | 〇 | × | 媒介契約時 |
住宅ローン残高証明書 | 〇 | 〇 | 〇 | 媒介契約時 |
購入時の売買契約書やパンフレットなど | △ | △ | △ | 媒介契約時 |
紛失してしまった書類や取得方法がわからない書類があるときは、契約している不動産会社に相談してみましょう。書類の取得方法や代替書類について案内してもらえます。
なかには必要書類の取得を代行してくれる業者もあるので、ご希望の方は一度問い合わせてみるとよいでしょう。
不動産売却のときに必要な書類
不動産を売るときに必要になる書類は、大きく14種類に分類できます。
ここからは、各書類の詳細と入手方法を説明します。
本人確認書類
本人確認書類は、不動産会社との契約時や売買契約締結時、引渡しのときなど多くの場面で必要になります。常に持ち歩くようにしておくと安心でしょう。運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどの顔写真付きの身分証が該当します。
物件が共同名義の場合は、共有者全員分の本人確認書類を用意します。共有者が遠方に住んでいる場合、取得に時間がかかるため注意が必要です。
関連記事:共有名義の不動産の売却方法|注意点や流れについて詳しく解説
実印・印鑑証明書
実印と印鑑証明書は、売買契約締結と引渡しのときに必要です。印鑑証明書は役所で発行してもらいますが、マイナンバーカードがあれば、コンビニエンスストアやスーパーマーケットのマルチコピー機で取得することも可能です。
なお、印鑑証明の発行には「印鑑登録カード」もしくは「印鑑登録証」が必要になるので、必ず持参してください。有効期限は、発行してから3か月以内となります。
登記済権利書(登記識別情報)
登記済権利書は、物件の所有者を証明する「土地の権利書」です。契約のタイミングで不動産の所有者が売主と一致していることを証明するために使用するのに加え、不動産の名義を変更するときに法務局へ提出する必要があります。
物件を取得するときに法務局から交付されるため、物件購入時の契約書などと一緒に保管していないか確認しましょう。再発行はできないので、紛失してしまった場合は法務局に問い合わせたり司法書士に依頼したりして、別の方法で本人確認してもらいます。
固定資産税納税通知書・固定資産評価証明書
固定資産税納税通知書は、買主に固定資産税の金額を伝えたり未経過固定資産税を清算したりするために使います。また、移転登記に必要な登録免許税を算出するときも必要になります。
毎年3~6月くらいに自治体から郵送されますが、紛失などで手元にない場合は、役所で取得することも可能です。
また物件の名義変更をするときは、最新年度の固定資産評価証明書の提出が必要になります。こちらは自動的に送付されてくる書類ではないので、役所で申請するか不動産会社に委託するかして取得しましょう。
間取り図
戸建てやマンションを売却するときは、間取り図を提出しておきましょう。必須書類ではありませんが、物件を査定するときや売却活動に使う広告などを作成するときに役立ってくれます。
手元にない場合は不動産会社が現地で物件を確認し、あらためて間取り図を作成してくれます。
建築確認済証・検査済証(一戸建て)
一戸建てを売却するときは、建物が建築基準法にのっとって建てられたことを証明する「建築確認済証」や「検査済証」を提出します。
建物が法令を遵守して建築されているかどうかは、買主にとって重要な情報です。建築基準法に違反している建物は、住宅ローンの借り入れや建て替えの際に不都合が発生する可能性が高まります。
安心して購入してもらえる物件であることを証明するためにも、準備しておきましょう。
管理規約・使用細則・維持費等がわかる書類(マンション)
マンションを売却するときは、管理・使用に関するルールや維持費がわかる書類を提出します。
「どのように維持管理されているのか」「ペットは飼えるのか」「リフォームはどの程度できるのか」などの情報は、物件購入の意思決定を左右する重要な要素です。そのため、売買契約締結前のタイミングで提示できると親切でしょう。
手元に書類がない場合は、マンションの管理会社に問い合わせれば取得が可能です。仲介を依頼する不動産会社に依頼して手配してもらいましょう。
土地測量図・境界確認書(一戸建て・土地)
一戸建てもしくは土地を売却するときは、対象面積を証明するために土地測量図と境界確認書を提出します。
この情報が不確かだと、売却後に大きなトラブルが発生するリスクが高まります。書類が手元にない場合や境界線が未確認の場合は、必ず対処しておきましょう。
土地測量図は法務局で取得可能ですが、境界線に関しては公的に証明する書類がありません。調査会社がわかる場合はその会社に確認し、わからない場合はあらためて境界確認書を作成しておく必要があります。
建築設計図書・工事記録書
建築設計図書・工事記録書は、建物がどのように設計・工事されたのかを確認するための書類です。必須書類ではありませんが、媒介契約時までに準備しておくと買主に強い安心感を与えられます。
将来的なメンテナンスやリフォームで役立つ書類なので、売買契約が締結されたあとは買主に引き渡せると親切でしょう。
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
「耐震診断報告書」は、1981年5月31日以前の「旧耐震基準」で建築された建物が対象になる書類です。旧耐震基準の建物に対して耐震診断を実施した場合は、報告書を提出して結果を説明しましょう。
また、建物にアスベスト(石綿)を使用しているかどうかを調査した結果報告書がある場合は、そちらについても説明します。どちらも必須書類ではありませんが、買主に安心感を与えて物件を売却しやすくするために役立つ書類です。
地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書
土地の形状や地面の状態についてまとめた「地盤調査報告書」や、住宅の性能を評価した「住宅性能評価書」「既存住宅性能評価書」も、提出しておきましょう。
こちらも必須書類ではありませんが、ある場合は準備しておくことがおすすめです。土地や住宅の安全性を証明できると、買手がつきやすくなります。
設備表・物件状況等報告書
物件の設備や住宅の状況を買主に対して説明するための書類です。
不動産を売却するときは、物件状況等報告書で雨漏りやシロアリ被害などの欠陥について買主に説明することが義務付けられています。設備表は必須書類ではありませんが、トイレやキッチンなどの設備の現況を共有しておくと、クレームやトラブルを防げます。
どちらも売主が準備する書類ですが、不動産会社がひな形を持っている場合もあるので、作り方がわからないときは相談してみるとよいでしょう。
住宅ローン残高証明書・ローン返済予定表
住宅ローンが残っている場合は、残債がいくらあるのかを確認したうえで、不動産の売り出し価格を決めたり返済計画を立てたりする必要があります。その資料として、「住宅ローン残高証明書」や「ローン返済予定表」も準備しておきましょう。
住宅ローン残高証明書は、毎年10月ごろに金融機関より郵送されます。ローン返済予定表は、借り入れ直後に自宅へ郵送されます。
手元にない場合は、借り入れている金融機関に問い合わせましょう。
購入時の売買契約書やパンフレットなど
不動産を購入したときの売買契約書やパンフレット、チラシなどが残っている場合は、そちらも準備しておきましょう。不動産会社が販売活動を行うときの参考資料になります。
売買契約書がない場合は、購入時に仲介を依頼した不動産会社に相談すると、コピーで対応してもらえる可能性があります。
不動産売却の契約後に必要になる書類
不動産を売却するために業者や買主と契約を締結するときは多くの書類が必要になりますが、契約締結後もいくつか書類を準備しなければいけません。
ここからは、不動産売却の契約締結後に必要な書類をみていきましょう。
決算・引渡しのときに必要な書類
不動産売買の際は、代金の授受を行う決算と不動産の名義変更や書類・鍵の引渡しを同時に行うことが一般的です。
この手続きのときに必要となる書類としては、次のようなものが挙げられます。
本人確認書類
住民票(登記上の住所と売主の現住所が異なる場合)
実印・印鑑証明書
登記済権利書(登記識別情報)
固定資産評価証明書
銀行口座書類
抵当権等抹消書類(住宅ローンが残っている場合)
印鑑証明や住民表は取得から3か月が有効期限となるため、取得するタイミングに気をつけましょう。
買主に渡す必要がある書類
物件を引き渡す際は、物件に関する次のような書類を買主へ引き継ぐ必要があります。
鍵一式
間取り図
建築確認済証・検査済証
管理規約・使用細則・維持費等がわかる書類
土地測量図・境界確認書
建築設計図書・工事記録書
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書
地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書
設備表・物件状況等報告書
購入時の売買契約書やパンフレットなど
鍵は、複製したものも含めてすべて引き渡しましょう。紛失している鍵があれば、しっかりとその旨を不動産会社に伝えておいてください。
他の書類に関しては、手元に残っているものを引き継ぎます。
確定申告のときに必要な書類
不動産の売却によって譲渡所得が発生した場合は、翌年の2月中旬~3月中旬に確定申告を行います。
確定申告の際に必要な書類は、次のとおりです。
確定申告書B
確定申告書第三表
確定申告書付表兼計算明細書(譲渡所得の内訳書)
売却物件の売買契約書
仲介手数料や印紙税などの領収書
特例の利用に必要な書類
確定申告に関する書類は、税務署の窓口もしくは国税庁のホームページから入手できます。税務署の職員に聞きながら作成することも可能なので、わからないことがある方は早めに相談しておきましょう。
参考:国税庁|確定申告書等の様式・手引き等
【ケース別】不動産売却で必要になる特別な書類
ここまでに紹介した不動産売却の必要書類は、個人が不動産を売るときに準備しておきたい一般的な書類です。法人や成年後見人などが不動産を売却する特別なケースでは、他にも追加で準備しておきたい書類がいくつかあります。
ここでは、ケース別に必要になる特別な書類をみていきましょう。
法人が売却する場合
法人が所有する不動産を売却するときは、次のような書類が必要です。
法人代表または取引担当者の身分証明書
法人の実印・印鑑証明書
法人の登記事項証明書
法人の場合は、会社の登記事項証明書が必要になります。登記簿上の住所と現在の住所が異なる場合は、履歴事項全部証明書も準備します。
発行から3か月以内に提出する必要があるため、取得のタイミングに注意しましょう。
成年被後見人が売却する場合
成年被後見人が管理を任されている住居用不動産を売却するときは、管轄の家庭裁判所の許可が必要です。家庭裁判所に「住居用不動産処分許可申立」を行い、許可が下りたあとに売却することになります。
住居用不動産処分許可申立に必要な書類は、次のとおりです。
申立書
不動産の全部事項証明書
不動産売買契約書の案
処分する不動産の評価証明書
不動産会社作成の査定書
収入印紙・郵便切手
なお、必要になる書類は自治体によって異なる可能性があります。あらかじめ管轄の家庭裁判所に問い合わせておきましょう。
相続財産管理人が売却する場合
相続人が不在の不動産を処分する場合は、「相続財産管理人選任の申立」を行い、家庭裁判所による許可を得たうえで売却しなければいけません。
必要になる書類としては、次のようなものが挙げられます。
【相続財産管理人選任の申立に必要な書類】
申立書
被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本
被相続人の両親の出生時から死亡時までの戸籍謄本
被相続人の直系尊属が死亡していることを記載している戸籍謄本
被相続人の住民票除票もしくは戸籍附票
【不動産売却時に必要な書類】
相続財産管理人の選任審判書
相続財産管理人の実印・印鑑証明書
家庭裁判所の不動産売却許可書
相続財産管理人の選任審判書は、発行後3か月以内が有効期限になります。手続きが複雑で有効期限を忘れてしまうことが多いため、取得のタイミングに気をつけましょう。
海外に在住している所有者が売却する場合
海外に在住している人が所有している不動産を売却するときは、次のような書類が必要になります。
在留証明書
サイン証明書
代理権限委任状(売却を代理してもらう場合)
在留証明書は、在留先の日本大使館や領事館に次の書類を提出して取得しましょう。
パスポート
戸籍謄本(本籍地確認用)
いつから海外の現住所に居住しているかを証明する書類
在留証明書は取得に時間がかかるため、早めに申請しておくことがおすすめです。
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