土地の生前贈与と相続はどちらが得?贈与税・相続税の違いを比較して解説
「土地を子どもに残したいけれど、生前贈与と相続のどちらが得なのかわからない」と悩んでいませんか?
本記事では、生前贈与と相続について、具体的な計算例を交えながら比較して解説します。どのような場合に生前贈与や相続を選択すべきか知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
生前贈与・相続の基礎知識
はじめに、土地の承継方法として一般的な「生前贈与」と「相続」について、それぞれの特徴や仕組みを解説します。
生前贈与とは
生前贈与は、所有者が存命中に財産を他者に無償で譲渡する方法です。贈与者の判断で、誰にどのような財産をいつ贈与するかを自由に決めることができます。
贈与税の基礎控除額は年間110万円となっており、この範囲内であれば贈与税は発生しません。これを利用して毎年計画的に財産を移転することで、将来の相続税負担を軽減することができます。
また相続時精算課税制度を適用する場合、累計2,500万円までの贈与に対して贈与税が非課税となります。
相続とは
相続は、被相続人(亡くなった方)の財産を、法定相続人または遺言で指定された相続人に承継する制度です。相続開始時期は被相続人の死亡時となり、その時点で自動的に相続が発生します。
相続には「法定相続」と「遺言相続」の2種類があり、遺言書がない場合は民法で定められた法定相続分に従って財産が分配されます。ただし、配偶者には他の相続人の2分の1の法定相続分が保証されており、遺産分割協議により実際の相続割合を変更することも可能です。
また相続をしたくない場合、相続放棄の手続きをとることもできます。詳しくは下記の記事で解説していますので、合わせてご確認ください。
関連記事:相続放棄のデメリット5つ|相続放棄した方がいいケース・できないケースも解説
土地の生前贈与と相続はどちらが得か
ここでは、具体例を用いて生前贈与と相続を比較します。
受け取った不動産の価値が同じ場合、贈与税の方が税率が高い
同じ価値の不動産を受け取る場合、贈与税の方が相続税よりも税負担が大きくなります。これを具体的な数字で見てみましょう。
例えば、固定資産税評価額が3,000万円の土地を受け取る場合を考えてみます。
【生前贈与の場合】 贈与税の計算式:(財産評価額 - 基礎控除額)× 税率 - 控除額
よって贈与税額は1,035万5,000円となる |
【相続の場合】 相続税の計算式:(課税遺産総額 - 基礎控除額)× 税率 - 控除額
この場合、3,000万円(遺産総額)< 4,200万円(基礎控除額)となるため、相続税は発生しない |
このように、同じ3,000万円の土地でも、生前贈与では1,035万5,000円の税金が発生するのに対し、相続では税金が発生しないケースもあります。
贈与税の方が得になるケースもある
ただし、必ずしも相続税の方が有利とは限りません。
先ほどの計算例では基礎控除額が遺産総額を超えたため相続税が発生しませんでしたが、遺産総額が基礎控除額を超える場合は相続税が発生します。遺産総額が大きくなるとその分相続税の負担も大きくなるため、場合によっては贈与税の税率の方が低くなることもあるのです。
また将来的に地価の上昇が見込まれる土地の場合、早めに生前贈与を行うことで税負担を抑えられる可能性も。これは、贈与時の評価額で税金が確定するためです。
例えば現在の評価額が3,000万円の土地が、10年後に5,000万円まで上昇すると予想される場合を考えてみましょう。生前贈与であれば3,000万円時点での贈与税で済みますが、相続の場合は5,000万円の評価額に基づいて相続税が計算されます。
このように、贈与税と相続税にはそれぞれメリット・デメリットがあり、一概にどちらが得とは言えません。自身の状況に応じて、専門家に相談しながら最適な方法を選択することをおすすめします。
土地を生前贈与した方が良いケース
ここからは、土地を生前贈与をした方が良いケースについて解説します。以下の状況に該当する場合は、生前贈与が適している可能性が高いです。
相続人間でトラブルが予想される場合
相続人間の関係が良好でない場合や、特定の相続人に財産を確実に承継させたい場合には、生前贈与が有効な選択肢となります。相続の場合、法定相続分に基づいて財産が分配されるため、遺言書を作成していない場合に相続人の意向と異なる結果になる可能性があるためです。
例えば3人の子どもがいる場合、法定相続分は均等に3分の1ずつとなります。しかし、実際の家族関係や貢献度によっては、この分配が適切でないと感じる方もいらっしゃるでしょう。生前贈与であれば、贈与者の意思で自由に財産を分配することができます。
また相続では遺産分割協議が必要となり、相続人間で意見が対立すると、長期化したり裁判に発展したりするケースも。生前贈与であれば、このようなトラブルを未然に防ぐことができるのです。
将来的な認知症による判断能力の低下が見込まれる場合
将来的に判断能力が低下する可能性がある場合、早めに生前贈与を行うことで、自身の意思通りに財産を承継させることができます。
認知症と診断されると成年後見制度の利用が必要となり、本人の財産管理は後見人の判断に委ねられることになります。この場合、本人の意思とは異なる財産管理が行われる可能性も。
また認知症と診断された後に作成された遺言書は無効と判断されるリスクがあることから、判断能力があるうちに生前贈与を行うことで、確実に希望する相手に財産を承継させることができます。
将来の地価上昇が予想される場合
前述のとおり、将来的に地価の上昇が見込まれる土地の場合、早めに生前贈与を行うことで、税負担を抑えられる可能性があります。
【現在の評価額が3,000万円の土地が10年後に5,000万円まで上昇すると予想される場合】
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また、贈与税には年間110万円の基礎控除があり、この範囲内であれば税金がかかりません。
土地を相続した方が良いケース
以下の状況に該当する場合は、生前贈与よりも相続の方が得になる可能性があります。
相続財産が基礎控除内の場合
前述のとおり、相続財産の総額が基礎控除額以内であれば相続税が発生しないため、相続を選択するメリットが大きくなります。
例えば、配偶者と子供2人の場合の基礎控除額は以下のとおりです。
3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円
つまりこの家族構成の場合、相続財産の総額が4,800万円以下であれば相続税が発生しません。一方、生前贈与の場合は、年間110万円を超える贈与に対して贈与税が課税されます。
ただし、相続財産の評価額が基礎控除額をわずかでも超えると相続税が発生するため、正しい財産評価が必要です。また、相続開始前3年以内の贈与財産は相続財産に加算されるため、この点にも注意が必要となります。
小規模宅地等の特例が適用できる場合
被相続人が居住していた土地や事業用の土地に対しては、「小規模宅地等の特例」が適用できる場合も。この特例を利用すると土地の評価額を大幅に減額することができ、結果として相続税の負担を軽減できます。
特例の適用により、以下のように評価額が減額されます。
- 居住用宅地:330㎡まで80%減額
- 事業用宅地:400㎡まで80%減額
- 貸付事業用宅地:200㎡まで50%減額
例えば評価額1億円の居住用宅地(330㎡以下)を相続する場合、特例適用後の評価額は2,000万円(1億円 × 20%)です。これにより、相続税の課税対象となる金額を大幅に減らすことができます。
参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
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