空き家を売却する際の注意点|売却の流れや費用・税金についても解説

空き家を売却する際の注意点|売却の流れや費用・税金についても解説
目次

相続で引き継いだ家などが空き家になっており、できれば手放したいとお考えの方は少なくないのではないでしょうか。しかし「空き家を売却したいものの、具体的に何をしたら良いかわからない」と悩んで行動に移せていない方は多いはず。

空き家は所有している限り管理コストや税金がかかり続けるため、利用予定がなければ早めに売却するのがおすすめです。早期売却のためにも空き家売却の注意点や流れを知り、トラブルなくスムーズに売却できるように準備を進めましょう。

本記事では空き家売却の注意点を売却前・売却後に分けて詳しく解説。空き家売却の流れや費用・税金や必要書類も説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。

空き家を売却する前の注意点

空き家を売却する前の注意点は次の6つです。

売却できるのは名義人のみ

空き家に限らず、不動産を売却できるのは名義人のみです。相続などで名義変更がまだの場合は、売却前に相続登記の手続きが必要となります。

関連記事:不動産を相続するときの流れは?登記で必要な書類についても解説

関連記事:相続登記の義務化とは?2024年4月以降の罰則や手続きについて解説

もしも名義人が複数いる場合は、名義人全員の同意がないと売却できません。空き家を売却したい場合は、他の名義人と事前に話し合いをしておきましょう。

売却には抵当権抹消登記が不可欠

住宅ローンが残っている空き家を売却する場合は、抵当権抹消登記が不可欠です。抵当権とは、住宅ローンの担保として金融機関が設定する権利のことで、登記簿謄本に記載されています。売却時には住宅ローンの残債を一括返済し、抵当権を抹消する必要があるのです。

抹消登記が完了していないと買主への所有権移転ができないため、売却が難しくなります。抵当権抹消の手続きは複雑ですので、司法書士や行政書士にご相談ください。

節税のためには取得から3年以内の売却が望ましい

相続した空き家を売却する場合、譲渡所得税の特別控除が適用される場合があります。この特例は、被相続人の居住用財産を相続し、相続開始から3年以内に売却すれば、最高3,000万円まで譲渡所得から控除されるものです。

参考:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

特例を利用するには、被相続人が亡くなる前に住んでいた家であること、相続人が売主であることなどの条件を満たす必要があります。税制上のメリットを享受するためにも、早めの売却をご検討ください。

売却前に空き家を解体/リフォームしない

売却前に空き家を解体したり、リフォームしたりすることは避けましょう。解体やリフォームには高額な費用がかかりますが、売却価格に反映されるとは限りません。また買主の希望に合わない可能性もあるため、無駄な出費になってしまうリスクもあります。

不動産売却には「仲介」「買取」の選択肢がありますが、不動産買取業者に売却する場合は解体やリフォームは不要です。現状のままで査定を依頼し、買取価格を比較検討することをおすすめします。

関連記事:不動産売却前にリフォームは不要|査定額を上げるコツも詳しく紹介

売却方法を決めるには現状確認が必要

空き家の売却方法を決める際には、現状確認が必須です。空き家は遠方にあることが多いため、定期的な管理を怠っている方が少なくないでしょう。そのため実際に空き家を見に行ってみると、自分の記憶よりも劣化が進んでいたというケースがあるのです。

空き家の状態によって選択できる売却方法が変わってくるため、空き家が遠方にあるという方でも必ず現地で現状確認しましょう。

高く売却するには家財道具の処分が必要

相続で引き継いだ空き家の場合は、残されている家財道具の処分に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。家財道具の処分は必須ではない場合もありますが、買主に価格交渉の余地を与えてしまいます。そのため高く売却するためには家財道具を処分した方が良いでしょう。

なお家財道具の処分をしたくない場合は、「不動産買取」の利用もおすすめです。「不動産買取」であれば処分だけでなく補修なども不要で現状のまま買い取ってくれる業者があります。そのため「不動産買取」業者への査定依頼も忘れず行ったうえで、売却方法を検討しましょう。

なお家財道具の処分や補修が不要で買取をしている不動産会社としては、「新潟・長岡・上越不動産買取応援隊」がおすすめです。

空き家を売却した後の注意点

続いて、空き家を売却した後の注意点を確認していきましょう。

空き家を売却した翌年は確定申告が必要

空き家を売却して利益が出た場合、原則として譲渡所得税の申告と納税が必要です

売却代金から取得費、譲渡費用、特別控除額などを差し引いた金額が譲渡所得となり、所得税と住民税が課税されます。確定申告は、売却した翌年の2月16日から3月15日までに売主の住所地を管轄する税務署に行います。

申告書の作成は複雑なので、税理士や会計士に依頼するのがおすすめです。また売却価格が高額な場合は予定納税が必要なことも事前に認識しておきましょう。

控除の申請は期限内に行う

前述の通り、空き家売却時には特別控除の適用を受けられる場合がありますが、特例の適用を忘れてしまうと本来なら控除される金額が控除されないまま税額が計算されてしまうため、税負担が重くなってしまいます

例えば3,000万円の特別控除が適用される場合、所得税の税率が30%だとすると、900万円も多く納税することになりかねません。さらに住民税も所得税と同様に計算されるため、税負担は更に大きくなります。

このように、特例の適用を忘れるとかなりの損失になるため、売却前に税理士等の専門家に相談し、適用要件や必要書類を確認しておくことが大切です。

買主への名義変更手続きは速やかに

空き家の売却が完了したら、買主への名義変更手続きを速やかに行いましょう。名義変更が遅れると固定資産税の請求先が売主のままになるなど、トラブルの原因になります。

不動産の所有権移転には、法務局での登記手続きが必要です。売主と買主の間で登記申請書に署名・押印し、登記識別情報を提供します。手続きは司法書士に依頼するのが一般的ですが、売主側の費用負担はありません。

空き家売却の流れ6ステップ

空き家売却の流れ6ステップを解説します。

  • ステップ①不動産会社への査定依頼・相談
  • ステップ②不動産会社との媒介契約
  • ステップ③売却価格の決定・売却活動
  • ステップ④買主との売買契約
  • ステップ⑤決済・引渡し
  • ステップ⑥確定申告

なお上記は不動産会社に仲介してもらった場合の売却の流れとなります。「不動産買取」や「空き家バンク」を利用した場合はより少ないステップで済むため、「仲介」の流れを把握しておけばスムーズに理解できるでしょう。「不動産買取」や「空き家バンク」については、この記事の次の章「空き家売却方法4パターン」のなかで詳しく解説します。

関連記事:不動産売却の流れとは?必要な書類や費用・税金、注意点も解説

ステップ①不動産会社への査定依頼・相談

ステップ①は不動産会社への査定依頼・相談です。まずは複数社の不動産会社へ査定依頼を出し、空き家の売却価格を把握しておきましょう。査定方法には次の2つがあります。

簡易(机上)査定

空き家の住所や築年数、面積などの情報をもとに査定する方法。インターネットや電話で手軽に依頼可能であり、結果が出るのも1~2日程度と短期間。ただし実際の物件を見ていないため査定結果の精度が低い。

訪問査定

空き家を実際に見てもらい査定する方法。現地での査定は1~2時間程度であり、結果が出るのは1週間程度。実際の物件を見てもらうため正確な査定結果が得られる。

簡易査定だけでは正確な結果がわからないため、最終的には訪問査定が必要となります。ただし気になる不動産会社すべてに訪問査定を依頼すると手間や時間がかかるため、まずは簡易査定の結果をもとに不動産会社を絞り込むのがおすすめです。訪問査定を依頼したい不動産会社が決まったら、訪問査定依頼と売却方法の相談を行いましょう。

関連記事:不動産売却はどこがいい?判断基準やランキング、コツも解説

ステップ②不動産会社との媒介契約

ステップ②は不動産会社との媒介契約です。契約したい不動産会社が決まったら、媒介契約へと進みます。媒介契約には次の3種類ありますので、それぞれの特徴を理解したうえで契約方法を選択しましょう。

 

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

複数社との媒介契約

可能

不可

不可

自身で買主を見つけた場合の仲介手数料

必要

必要

仲介不可

契約期間

規定なし

3ヶ月ごとに更新

3ヶ月ごとに更新

指定流通機構(レインズ)への登録義務

任意

7日以内に登録

5日以内に登録

売却活動の報告義務

任意

2週間に1回以上

1週間に1回以上

基本的には「複数社と媒介契約したいか」「自身で買主を探す可能性があるか」が選択に大きくかかわってきます。

複数社と媒介契約したい場合は、「一般媒介契約」一択です。「一般媒介契約」であれば複数社と媒介契約できるため、空き家を幅広くアピールできるメリットがあります。ただし不動産会社としては自分たちの利益になるかわからないため、営業を積極的に行ってくれない可能性も。

媒介契約は1社のみで十分という人は、「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」の二択です。両者の大きな違いは「自身で買主を探す可能性があるかどうか」です。可能性があれば「専任媒介契約」、可能性がなければ「専属専任媒介契約」を選択しましょう。

ステップ③売却価格の決定・売却活動

ステップ③は売却価格の決定・売却活動です。まずは実際に空き家をいくらで売り出すか、売却価格を決定しましょう。売却価格が決定したら、いよいよ売却活動に進みます。

空き家の広告宣伝活動自体は不動産会社が行ってくれるため、売主が行うのは空き家の内覧対応です。内覧前に空き家のクリーニングを済ませ、できるだけ印象を良くしておきましょう。

ステップ④買主との売買契約

ステップ④は買主との売買契約です。買主が見つかったら売買契約の締結を行います。基本的には売主・買主・不動産会社が一堂に会し契約を交わします。

売買契約では必ず契約書の読み合わせを行い、不明点があればその都度確認するのがおすすめです。また当日は買主から手付金を受領するのが一般的ですので、受領確認も忘れずに行いましょう。

ステップ⑤決済・引渡し

ステップ⑤は決済・引渡しです。決済では手付金を引いた残代金を受領。そして空き家の所有者の移転登記申請を行うことで、買主へ空き家を引き渡します。

売主は仲介手数料や所有移転登記費用の支払いが必要となりますので、費用の受領だけでなく自身の支払いについても忘れずに準備しておきましょう。

ステップ⑥確定申告

ステップ⑥は確定申告です。空き家の売却で利益が出た場合、売却した翌年に確定申告が必要となります。

確定申告は税金の特別控除を受けるためにも必要です。本記事の「空き家売却に利用できる特別控除」の章を参考に、できるだけ節税できるようにしましょう。

空き家の売却方法4パターン

空き家の売却方法4パターンは次のとおりです。

  • パターン①「中古住宅」または「古家付き土地」として売却
  • パターン②古家を解体して「更地」として売却
  • パターン③現状のまま不動産買取を利用して売却
  • パターン④現状のまま自治体の空き家バンクを利用して売却

パターン①「中古住宅」または「古家付き土地」として売却

パターン①は空き家を解体せずに、「中古住宅」または「古家付き土地」として売却する方法です。解体費が不要となるため、空き家の劣化が激しくなければパターン①として売却するのがおすすめとなります。

「中古住宅」か「古家付き土地」のどちらを選択するべきかについては、下記の表を参考にしてください。

中古住宅

空き家の状態が良く、住むのに問題ない場合に選択。目安は築20年以内。

古家付き土地

空き家の劣化が進んでおり、建物の経済的な価値がほぼゼロの場合に選択。目安は築20年超。

「中古住宅」は建物にも付加価値がある物件のため、「古家付き土地」として売却するよりも高値で売却できる可能性が高くなるでしょう。「古家付き土地」の場合は、古家が原因で買主が見つかりづらくなる可能性があります。状況に応じてパターン②である「古家の解体」も視野に入れて検討しましょう。

パターン②古家を解体して「更地」として売却

パターン②は古家を解体して「更地」として売却する方法です。空き家の劣化が激しく倒壊などの危険がある場合は、古家を解体して更地にして売却しましょう。解体費や手間がかかるものの、そのまま残しておくと買い手がつかないリスクや倒壊の危険などから行政から指導が入る可能性があります。

なお古家の解体を決める前に、次節でも紹介する「不動産買取」業者に相談することをおすすめします。解体費や手間を考えた場合に、不動産買取を利用した方がお得になるケースがあるためです。

パターン③現状のまま「不動産買取」を利用して売却

パターン③は現状のまま「不動産買取」を利用して売却する方法です。

「不動産買取」であれば空き家を個人の買主ではなく「不動産買取」業者に対して売却するため、古家を解体しなくても売買契約を締結できる可能性が高まるでしょう。また買主探しが不要なため、早期売却できるメリットも。古家の補修や家財道具の処分も不要であるケースも多いため、現状のまま空き家を売却したい場合は候補に入れることをおすすめします。

ただし「不動産買取」は買主を探す場合に比べて、売却価格が下がってしまう可能性もあります。そのため売却方法の確定前に必ず買取査定をしてもらい、他の方法と比較したうえで選択しましょう。

パターン④現状のまま自治体の「空き家バンク」を利用して売却

パターン④は現状のまま自治体の「空き家バンク」を利用して売却する方法です。空き家バンクとは空き家の利活用のために自治体が運営しているサービスで、空き家を提供したい人と利用したい人をつなげてくれます。具体的には空き家を提供したい人が空き家バンクに登録し、その情報を自治体がホームページで公開することで利用者を募集する仕組みです。

空き家バンクは家財道具が残っている物件や、すぐに売却するつもりのない物件であっても登録可能です。また自治体によっては補助金や助成金が利用できるのもメリットとなります。仲介業者を通さない場合は、仲介手数料も節約できるでしょう。

ただし仲介業者を介さない場合は、応募者と直接やり取りする必要があるため要注意です。場合によってはトラブルに発展することもあるため、不動産取引に慣れていない方は仲介業者の利用をおすすめします。また空き家バンクはあくまで自治体が情報を掲載してくれるだけであるため、不動産会社を利用する場合と比べて売却までに時間がかかる可能性があることも頭に入れておきましょう。

参考:空き家バンク - 新潟県ホームページ

空き家売却にかかる費用・税金

空き家売却にかかる費用・税金について、次の3つに分けて説明します。

  • 空き家売却にかかる費用
  • 空き家売却にかかる税金
  • 空き家売却に利用できる特別控除

空き家売却にかかる費用

空き家売却にかかる費用は以下のとおりです。

仲介手数料

不動産会社に仲介してもらう場合に発生する手数料。

古家解体費用

古家を解体して更地にする場合に発生する費用。

その他

家財道具の処分費など。

状況によって必要な費用が変わる可能性があるため、不動産会社への相談時に確認しておきましょう。

空き家売却にかかる税金

空き家売却にかかる税金は以下のとおりです。

印紙税

売買契約書にかかる税金。契約書に収入印紙を貼付して納付。

登録免許税

所有者の移転登記を行う際に発生する税金。

譲渡所得税

空き家の売却で利益が出た場合に発生する税金。

税金についても状況によって変わる可能性があるため、費用と合わせて不動産会社への相談時に確認しておきましょう。

空き家売却に利用できる特別控除

空き家売却に利用できる可能性のある主な特別控除は以下のとおりです。

  • マイホームを売ったときの軽減税率の特例(参考:国税庁
  • 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(参考:国税庁
  • 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除(参考:国税庁

なお特別控除の要件は、必ずホームページや税務署などで最新情報を把握するようにしましょう。

空き家売却の必要書類

空き家売却に必要な書類は以下のとおりです。

身分証明書

運転免許証やパスポートなどの本人確認書類。

印鑑証明書・印鑑

決済・引渡し日時点で有効期限内の印鑑証明書とその印鑑。なお登記申請に添付する印鑑証明書の有効期限は3か月以内のため要注意。

銀行通帳

売買代金の振込先口座の情報。

登記済権利書・登記識別情報

物件を所有していることを証明するために必要。なお物件を2005年以降に取得している場合は、登記済権利書ではなく登記識別情報が発行されている場合もある。

固定資産税納付書・固定資産税評価証明書

固定資産税の確認をするために必要。

建築確認通知書・検査済書

物件が建築基準法にのっとって建築されていることを証明するために必要。

地積測量図・境界確認書

戸建ての空き家や古家解体後の更地を売却する場合、売却対象を明確にするために必要。

状況によって必要な書類が変わる可能性もあるため、不動産会社への相談時に忘れずに確認しましょう。

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