不動産相続

不動産の相続、何をすればいい?必要な手続きや書類・税金について解説

不動産の相続、何をすればいい?必要な手続きや書類・税金について解説
目次

「相続って、何から始めればいいの?」そんな不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

不動産相続は遺言書の確認から相続登記、相続税の申告まで、やるべきことが山積みです。しかし、適切な準備と知識があれば、スムーズな相続は可能です。

本記事では、不動産相続の流れや必要書類、発生する税金について分かりやすく解説します。相続手続きを控えている方は、ぜひ最後までお読みください。

なお不動産の相続後、売却を視野に入れている方は下記の記事も合わせてご確認ください。

関連記事:相続した不動産の売却にかかる税金は?節税効果のある特例についても

不動産相続の流れ

不動産相続は複雑な手続きを伴いますが、大きく分けて4つのステップで進めていきます。それぞれの段階で必要な作業や注意点がありますので、順を追って見ていきましょう。

なお不動産相続の流れについて、より詳細な内容を解説した記事も公開しております。下記の記事も合わせて確認ください。

関連記事:不動産を相続するときの流れは?登記で必要な書類についても解説

1. 相続人・相続財産を確認する

不動産相続の第一歩は、相続人と相続財産の確認です。相続人の特定には、被相続人の戸籍謄本が必要です。出生から死亡までのすべての戸籍謄本を収集し、法定相続人を把握しましょう。

相続財産は、不動産登記簿謄本や固定資産税評価証明書から不動産の所在地や面積、評価額などの情報を得られます。なお相続財産に賃貸物件がある場合は、賃貸借契約書や家賃収入の帳簿なども確認が必要です。

預貯金や有価証券などの金融資産、自動車や貴金属などの動産も相続財産に含まれますので、漏れなく確認しておくことが大切です。

2. 遺産分割協議を行う

相続人と相続財産が確定したら、次は遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは、相続人全員で話し合いを行い、誰がどの財産を相続するかを決める話し合いです。不動産はその特性上、現金のように簡単に分割できないため、慎重な協議が必要です。

遺産分割協議では、不動産の評価額を適切に把握することが重要です。路線価や固定資産税評価額を参考にしつつ、必要に応じて不動産鑑定士による評価を受けることも検討しましょう。

また不動産の将来性や維持管理の負担なども考慮に入れる必要があります。古い家屋の場合、修繕費用や取り壊し費用が将来的に発生する可能性があります。賃貸物件であれば、家賃収入と管理の手間なども考慮しなければなりません。

3. 名義変更手続きを行う

遺産分割協議が整ったら、不動産の名義変更手続き(相続登記)を行います。この手続きは、不動産の所在地を管轄する法務局で行います。相続登記は、2024年4月1日から義務化されることが決まっており、相続開始を知った日から3年以内に行う必要があります。

相続登記に必要な主な書類は以下の通りです。

  • 登記申請書
  • 遺産分割協議書
  • 戸籍謄本(被相続人と相続人全員分)
  • 住民票(相続人全員分)
  • 固定資産評価証明書
  • 登記識別情報(旧登記済証)

相続登記の際には、抵当権や賃借権などの他人の権利が設定されていないかも確認することが重要です。これらの権利が設定されている場合、相続後の不動産の利用や処分に制限がかかる可能性があるためです。

4. 相続税の申告・納付を行う

最後のステップは、相続税の申告・納付です。相続税は、相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える場合に課税されます。申告・納付期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。

相続税の納付が困難な場合は、延納や物納の制度を利用することも可能です。特に不動産の価値が高く、現金での納付が難しい場合は、物納を検討する価値があるでしょう。

相続した不動産の分割方法

不動産を相続する際、複数の相続人がいる場合には、不動産の分割方法を決める必要があります。ここでは主な分割方法とそれぞれの特徴、適している状況について詳しくみていきましょう。

現物分割

現物分割とは、不動産をそのままの形で相続人に分ける方法です。例えば被相続人が複数の不動産を所有していた場合、それぞれの不動産を各相続人に割り当てる形で分割します。また、一つの土地を分筆して複数の相続人で分け合うこともあります。

現物分割のメリットは、手続きが比較的簡単で、相続税の計算も複雑にならないことです。また不動産をそのまま引き継ぐため、被相続人の意思を尊重しやすいという面もあります。

一方で、デメリットとしては、不動産の価値に差がある場合、相続人間で不公平感が生じる可能性があります。また、分筆が必要な場合は、その手続きや費用が発生します。

現物分割は、相続人全員が納得できる形で不動産を分けられる場合や、被相続人が複数の不動産を所有していた場合に適しています。

代償分割

代償分割は、特定の相続人が不動産を相続し、その代わりに他の相続人に現金などで補償(代償)を行う方法です。例えば、長男が実家の土地建物を相続し、その代わりに次男と長女に現金を渡すといった形です。

代償分割のメリットは、不動産を分割せずに済むため、資産価値を維持しやすいことです。また現金で調整するため、相続人間の公平性を保ちやすいという利点もあります。

デメリットとしては、不動産を相続する人に十分な資金力がない場合、代償金の支払いが難しくなる可能性があります。また不動産の評価額を巡って相続人間で意見が分かれる可能性もあります。

代償分割は、特定の相続人が不動産を引き継ぎたい場合や、事業用不動産を分割せずに相続したい場合などに適しています。

換価分割

換価分割とは、相続した不動産を売却し、その売却代金を相続人で分ける方法です。例えば被相続人の自宅を売却し、その代金を相続人で均等に分配するといった形です。

換価分割のメリットは、現金で分配するため、相続人間の公平性が保ちやすいことです。また、相続税の支払いに充てる資金を確保しやすいという利点もあります。

一方で、デメリットとしては不動産の売却に時間がかかる可能性があることや、売却時の市場状況によっては期待した金額で売れない可能性があることが挙げられます。また、被相続人の思い入れのある不動産を手放すことになるため、感情的な面で難しい場合もあります。

換価分割は、相続人全員が現金での相続を希望する場合や、相続税の支払いのために資金が必要な場合などに適しています。

共有分割

共有分割は、相続した不動産を相続人全員で共有する方法です。例えば3人の相続人がいる場合、それぞれが不動産の3分の1ずつの持分を所有するといった形になります。

共有分割のメリットは、不動産を売却せずに済むため、将来的な資産価値の上昇を期待できることです。また、相続人全員で不動産を共有するため、一見公平に見えます。

しかしデメリットとして、将来的に不動産の管理や処分を巡って相続人間で意見が対立する可能性があります。また、共有者の一人が自分の持分を売却したい場合、他の共有者の同意が必要になるなど、柔軟な対応が難しくなる場合があります。

共有分割は、相続人全員が不動産を共同で所有・管理することに合意している場合や、当面の間不動産の処分を考えていない場合などに適しています。

不動産相続に必要な書類

不動産相続の手続きを進めるうえで必要な書類は相続の形態によって異なります。ここでは、遺言による相続、遺産分割による相続、法定相続分による相続の3つのケースについて、それぞれ必要な書類を解説します。

遺言による相続登記の必要書類

遺言による相続登記の場合、必要な書類は比較的少なくなります。主な必要書類は以下の通りです。

  • 遺言書(自筆証書遺言の場合は検認済みのもの、公正証書遺言の場合は公正証書の正本)
  • 被相続人の戸籍謄本(死亡時のもの)
  • 被相続人の住民票の除票
  • 不動産を相続する人の戸籍謄本(被相続人の死亡後に発行されたもの)
  • 不動産を相続する人の住民票
  • 相続する不動産の固定資産評価証明書
  • 登記申請書

遺言による相続の場合、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を集める必要はありません。また不動産を相続しない相続人の戸籍謄本も不要です。ただし、自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続きが必要となりますのでご注意ください。

遺産分割による相続登記の必要書類

遺産分割協議による相続登記の場合、必要な書類は遺言による相続よりも多くなります。主な必要書類は以下の通りです。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の戸籍謄本(被相続人の死亡後に発行されたもの)
  • 相続する人の住民票
  • 遺産分割協議書(相続人全員の署名・押印が必要)
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続する不動産の固定資産評価証明書
  • 登記申請書

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を示す重要な書類です。作成の際は、不動産の所在地や面積、各相続人の取得割合などを明確に記載する必要があります。また相続人全員の実印での押印と印鑑証明書の添付が必要となりますので、ご注意ください。

法定相続分による相続登記の必要書類

法定相続分による相続登記の場合、遺産分割協議書は不要となりますが、その他の書類は遺産分割による相続とほぼ同じです。主な必要書類は以下の通りです。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の戸籍謄本(被相続人の死亡後に発行されたもの)
  • 相続人全員の住民票
  • 相続する不動産の固定資産評価証明書
  • 登記申請書

法定相続分による相続登記の場合、遺産分割協議書や印鑑証明書は不要となります。ただし、相続人全員の現在の戸籍謄本と住民票が必要となることに注意しましょう。

不動産相続で発生する税金と計算方法

不動産を相続する際には、主に相続税と登録免許税という2種類の税金が発生します。

相続税

相続税は、被相続人から相続した財産の価値に応じてかかる税金です。不動産は一般的に高額な財産であるため、相続税の計算において大きな影響を与えることがあります。

相続税が課税されるのは、相続した財産の総額が基礎控除額を超える場合です。基礎控除額は以下の計算式で求められます。

基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の場合、基礎控除額は4,800万円(3,000万円 + 600万円 × 3人)となります。相続した財産の総額がこの金額を超える場合に、相続税が課税されることになります。

相続税の計算方法

相続税の計算は以下の手順で行います。

  1. 相続財産の総額を算出する
  2. 債務や葬式費用を差し引く
  3. 基礎控除額を差し引く
  4. 相続税の総額を計算する
  5. 各相続人の税額を算出する

相続税の総額は、課税遺産総額(相続財産の総額から債務・葬式費用・基礎控除額を引いた額)に税率を乗じて計算します。税率は10%から55%まで段階的に設定されており、課税遺産総額が大きくなるほど高い税率が適用されます。

例えば、下記のケースを考えてみましょう。

  • 課税遺産総額:1億円
  • 法定相続人:妻、子ども2人(長男と長女)

この場合の法定相続分は「配偶者1/2、子ども(全員で)1/2」なので、配偶者が1億円、子どもひとりにつき5,000万円です。そこに税率表の税率をかけて控除額を引くと、次のようになります。

  • 妻:5,000万円 × 20% - 200万円 = 800万円
  • 長女:2,500万円 × 15% - 50万円 = 325万円
  • 長男:2,500万円 × 15% - 50万円 = 325万円
  • 相続税の総額 = 800万円 + 325万円 + 325万円 = 1,450万円

この総額を、各相続人が実際に相続した財産の割合に応じて按分し、各自の納付税額を決定します。ここでは、実際の相続割合が法定相続分と同じだと仮定します。

  • 妻:1,450万円 × (5,000万円 / 1億円) = 725万円
  • 長女:1,450万円 × (2,500万円 / 1億円) = 362.5万円
  • 長男:1,450万円 × (2,500万円 / 1億円) = 362.5万円

相続税の計算は複雑であり、不動産の評価方法や各種の特例なども考慮する必要があるため、専門家に相談することをおすすめします。

不動産買取応援隊では、相談内容に合わせて専門家である弁護士、税理士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士と連携を組み、お客様の不動産売却をサポートいたします。

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登録免許税

登録免許税とは、不動産の所有権移転や会社設立などの際に、登記や登録を行う時に課される国税です。不動産相続の場合、相続人の名義に変更する相続登記の際に発生します。

相続税とは異なり、相続した不動産の価値に関わらず必ず発生し、相続登記の申請時に納付する必要があることを覚えておきましょう。2024年4月1日からは相続登記が義務化され、相続開始を知った日から3年以内に行うことが求められます。

登録免許税の計算方法

登録免許税の計算方法は比較的シンプルです。以下の計算式で求められます。

登録免許税 = 不動産の固定資産税評価額 × 0.4%

例えば、固定資産税評価額が2,000万円の不動産を相続した場合、登録免許税は以下のように計算されます。

2,000万円 × 0.4% = 8万円

また複数の不動産を相続した場合は、それぞれの不動産について個別に計算し、合計額が登録免許税となります。

不動産相続を円滑に進めるポイント

不動産相続は複雑な手続きを伴うため、スムーズに進めるためにはいくつかのポイントがあります。ここでは、円滑な相続手続きのための3つのポイントについて解説します。

まずは遺言書の有無を確認する

不動産相続の第一歩は、遺言書の有無を確認することです。遺言書があれば相続手続きがスムーズに進むことが多いため、まずはその存在を確認しましょう。

遺言書には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。公正証書遺言は公証役場で作成・保管されるため、相続人が照会の請求をすれば存在の有無を調べることができます。自筆証書遺言の場合、被相続人の自宅や金融機関の貸金庫などを探す必要があります。

遺言書が見つかった場合、その内容に従って相続手続きを進めることになりますが、遺言書がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。

相続税は早めに概算を把握し、支払い方法を検討しておく

不動産相続では相続税の負担が大きくなる可能性があるため、早い段階で相続税の概算を把握し、支払い方法を検討しておくことが重要です。

相続税の負担が重くなる場合は、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などの控除や特例の活用を検討しましょう。また相続税の納付が困難な場合は、延納や物納の制度を利用することも可能です。

早めに相続税の概算を把握することで、必要な資金の準備や節税対策を講じることができます。

手続きに不安がある場合は専門家に相談を

不動産相続の手続きは複雑で、法律や税務の専門知識が必要となります。手続きに不安がある場合は、躊躇せずに専門家に相談することをおすすめします。

相続手続きでは、弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など、様々な専門家の助けを借りることができます。特に不動産の評価は相続税額に大きく影響するため、専門家の知見が重要です。

また相続税の申告書作成や各種手続きは煩雑で時間がかかります。専門家に依頼することで負担を軽減し、適正な相続税額での申告ができるでしょう。

不動産相続は大きな財産が動く重要な手続きですから、少しでも不安や疑問がある場合は早めに専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめいたします。

なお不動産買取応援隊では、相談内容に合わせて専門家である弁護士、税理士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士と連携を組み、お客様の不動産売却をサポートいたします。

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