不動産を相続するときの流れは?登記で必要な書類についても解説
不動産を相続する際には、さまざまな手続きや法的な知識が求められます。特に相続登記は、その流れや必要書類が複雑で、多くの方が戸惑うポイントの一つです。
この記事では、不動産相続の基本的なステップから登記に必要な書類について、わかりやすく解説します。この記事で相続手続きのプロセスをしっかり理解し、スムーズな相続を実現しましょう。
不動産相続の流れの6つのステップ
不動産相続の流れには、次の6つのステップが挙げられます。
- 遺言書の有無を確認する
- 相続人を確定する
- 相続財産を調査する
- 遺産分割協議を行う
- 相続登記をする
- 相続税の申告と納付
それぞれについて、以下解説します。
1. 遺言書の有無を確認する
まずは遺言書の有無を確認しましょう。相続の手続きにおいて、遺言書は非常に重要な役割を果たします。遺言書が存在する場合、基本的には遺言の指示に従って不動産を含む相続財産の分配が行われます。
遺言書の確認は公証人役場や家庭裁判所で行うことができ、存在しない場合は法定相続の規則に従って手続きが進められます。
遺言が適用されない場合に注意
ただし遺言書の内容が必ずしも適用されるわけではありません。自筆証書遺言が遺言者自身の手書きでない場合や、公正証書遺言が遺言者の判断力に問題があった場合、遺言書は無効になることがあります。
なお遺言は3種類あり、それぞれに注意点が異なります。それぞれの遺言の特徴などについては下の表のとおりです。
遺言の種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
自筆証書遺言 | 財産目録以外をすべて手書きで記した遺言の形式 |
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公正証書遺言 | 公証役場へ出向いて公証人に作成してもらう遺言の形式 |
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秘密証書遺言 | 遺言の内容を誰にも知られずに遺言を作成する形式 |
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また複数の遺言書が存在する場合は、最新の遺言が有効とされます。
遺留分に注意
重要な点として、遺言書による分配が相続人の「遺留分」を侵害してはならないという原則があります。遺留分とは、相続人に法律で保証された最低限度の相続分であり、これを侵害することは許されません。
遺留分は、配偶者、子ども、親など一定の親族に認められており、その割合は相続人の種類によって異なります。たとえ遺言書で特定の相続人に遺産全体を残すと記されていたとしても、他の相続人の遺留分を侵害することはできないのです。
遺留分を侵害された相続人は「遺留分侵害額請求権」を行使することが可能で、これにより遺留分額と実際に受け取った財産額の差額に相当する金銭の支払いの請求が可能です。
なお遺留分の確保は時効期間内に手続きを行う必要があります。また遺留分が侵害された場合の対処法としては、遺言の無効を主張する方法と、遺留分侵害額請求を行う方法が考えられます。
2. 相続人を確定する
遺言書を確認したら、次に被相続人の戸籍謄本を取り寄せ相続人を確定します。
相続人には一般的に配偶者、子ども、親、兄弟姉妹などが含まれる場合がありますが、被相続人の家族構成によって異なります。相続人が明確でない場合や新たな相続人が後から発覚した場合は、遺産分割協議の再実施が必要になる可能性があるため、この段階で慎重に確定させましょう。
3. 相続財産を調査する
相続人が確定したら、相続財産を調査しましょう。相続財産には不動産、預貯金、株式、生命保険金などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンや未払いの税金といったマイナスの財産も含まれます。そのため被相続人の財産全体を包括的に調査することが不可欠です。
不動産については市区町村から届く固定資産税の納税通知書や「土地・家屋名寄帳」を利用して、所有不動産の情報を確認しましょう。
また相続財産の価値を正確に把握することは、相続税の評価額を算出する上でも重要となります。相続財産の調査は次のステップ「遺産分割協議」においても重要な役割を果たします。
4. 遺産分割協議を行う
相続財産の調査の後は、遺産分割協議を行います。遺産分割協議では相続人全員が集まり、遺産をどのように分割するかを話し合います。特に遺言書がない場合、この協議は相続財産の分配を決定するために必要です。
遺産分割協議ではすべての相続人が合意に達する必要があり、合意が得られない場合は家庭裁判所に調停を申し立てることも可能です。
遺産分割協議での合意が成立した後は、その内容を遺産分割協議書に記載し、すべての相続人が署名・捺印を行います。この協議書は将来のトラブルを防ぐための重要な文書であり、公証人の認証を受けることが推奨されます。
5. 相続登記をする
遺産分割協議が完了したら、次のステップは不動産の相続登記です。具体的には不動産の法的な所有者を被相続人から相続人に変更する手続きを指します。
相続登記には、遺産分割協議書や相続関係を証明する書類など、複数の重要な書類が必要です。
また相続登記は法定期限内に行うことが義務付けられており、期限を過ぎると罰則が適用される場合があります。相続登記は、相続財産の保護と相続人の権利確立のためにも、適切かつ迅速に行うことが重要です。
6. 相続税の申告と納付
最後に相続税の申告と納付が必要です。
相続が開始されたことを知った日の翌日から数えて10ヶ月以内に、相続税の申告および納付を行う必要があります。この期限を遵守しない場合、無申告加算税や延滞税が課されるリスクがあります。相続が開始されてから10ヶ月ではないので、相続開始後10ヶ月が過ぎて相続開始を知った場合でも落ち着いて行動しましょう。
相続税の計算は、以下の順で行います。
- まず相続財産全体から非課税財産と債務を差し引いて正味の遺産額を算出
- 基礎控除額を計算。基礎控除額は、一律3,000万円に法定相続人の数に応じて600万円を乗じます
- 課税遺産総額を計算。正味の遺産額 - 基礎控除額で求められます
- この額を基に相続税が計算
相続税申告には遺産分割協議書や財産目録、不動産評価書などのさまざまな書類が必要です。相続税の計算や申告は複雑であり、特に大きな遺産の場合や複雑な家族構成の場合は、税理士などの専門家に依頼することが一般的です。
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不動産相続に必要な書類とは?
不動産相続の際に必要な書類は、遺言による登記の場合や法定相続分による場合、遺産分割協議を経る場合など、相続の状況により異なります。
ただここで紹介する必要書類をすべて自分で揃えるのは手間と時間がかかります。また登記申請書の作成には法的な知識も必要になるので、司法書士や「新潟・長岡・上越不動産買取応援隊」などのサービスにお気軽に相談ください。
遺言による登記の場合
遺言による登記の場合の必要書類は以下のとおりです。
- 被相続人の戸籍謄本(死亡の記載があるもの)
- 不動産を取得する相続人の戸籍謄本(被相続人の死亡日以降に発行されたもの)
- 被相続人の死亡によって除かれた住民票(除表)
- 相続人の住民票(附票でも可)
- 固定資産評価証明書(登記申請年度のもの)
- 登記申請書
- 遺言書
法定相続分による登記の場合
法定相続分による登記の場合の必要書類は以下のとおりです。
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までのすべてのもの)
- 相続人全員の戸籍謄本(被相続人の死亡日以降に発行されたもの)
- 被相続人の死亡によって除かれた住民票(除表)
- 相続人の住民票(附票でも可)
- 固定資産評価証明書(登記申請年度のもの)
- 登記申請書
- 相続関係説明図(必須ではないが、戸籍謄本の原本還付が可能になる)
法定相続分による登記の場合は、遺言による登記と比べ遺言書が必要なくなり、代わりに相続関係説明図が追加される形です。
被相続人の戸籍謄本が出生から死亡までのすべてのものが必要となる点、また不動産を取得しない相続人の戸籍謄本も必要になる点には注意しましょう。
遺産分割協議を経て登記する場合
遺産分割協議を経て登記する場合の必要書類は以下のとおりです。
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までのすべてのもの)
- 相続人全員の戸籍謄本(被相続人の死亡日以降に発行されたもの)
- 被相続人の死亡によって除かれた住民票(除表)
- 相続人の住民票(附票でも可)
- 固定資産評価証明書(登記申請年度のもの)
- 登記申請書
- 相続関係説明図(必須ではないが、戸籍謄本の原本還付が可能になる)
- 遺産分割証明書(相続人全員の記名捺印が必要)
- 印鑑証明書
遺産分割協議を経て登記する場合、法定相続分による登記の場合と比べ遺産分割証明書と、その捺印を証明するための印鑑証明が必要になります。
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不動産の相続は手続きの多さや法的な部分の難しさから、専門家に頼る方の多い部分です。
また単に不動産は相続して終わり、ではなく「売却する」「そのまま保有する」「資産として活用する」などの方法があります。ただ売却する以外の方法を取ると、分割が難しくなる、代償としての現金が必要となる、相続税の納税資金を確保する必要があるなどの気をつけるべき点が多くなってしまう点には注意しましょう。
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