自宅売却の相場はいくら?|売却価格の決まり方と準備も詳しく紹介
自宅の売却を検討している方にとって、売却価格は気になるポイントでしょう。自宅の売却価格はその後の住み替えや資金計画に影響するため、あらかじめ相場を知っておきたいと考える方は多いかもしれません。
この記事では、自宅を売却するときの相場について詳しく説明します。
物件の売却価格は、地域や築年数によって異なります。相場を調べる方法やあらかじめ行っておきたい準備を知って、納得のいく自宅売却を目指しましょう。
自宅売却の相場はどれくらい?
自宅の売却価格は物件の築年数や地域、建物の状態、土地の形状などに大きく左右されるため、相場を一概にいうことはできません。しかし、地域別・築年数別の不動産価格を知っていれば、売却価格の目安を知ることはできます。
まずは、自宅の売却価格を知りたいときに役立つ相場の基本知識についてみていきましょう。
自宅売却の相場動向
自宅を売却するときの相場は、住宅や土地の状態だけではなく、市場の状況にも影響されます。したがって、まずは最新の不動産価格の相場を押さえておく必要があります。
国土交通省の調査によると、令和5年9月における不動産価格指数は図のとおりであることが判明しました。
この表によると、マンションの相場は大きく上昇傾向にあることがわかります。戸建てはほほ横ばいですが、近年になって少しずつ上昇していると読み取れるでしょう。
このことから、マンションはもちろんのこと、一戸建て住宅の需要も高まりつつあると考えられます。つまり、今は自宅を売却したい方にとって絶好のタイミングであるといえるのです。
ただし、地域によって住宅の相場が大きく異なる点に注意しましょう。
ここ数年はテレワークの普及により郊外への関心も高まっていますが、依然として東京をはじめとした首都圏や駅からのアクセスがよい物件の需要が高い傾向にあります。それ以外では価格が低下している地域もあるため、必ずしも高く住宅を売却できるわけではないことを押さえておきましょう。
【地域別】自宅売却の相場目安
それでは、地域によって住宅の売却価格はどれほど違うものなのでしょうか。
以下の表は、公益財団法人 東日本不動産流通機構(レインズ)が発表した、2023年11月における成約状況のレポートをまとめたものです。都道府県をいくつかピックアップして成約価格を掲載しているので、自宅に近い地域の相場を確認してみてください。
都道府県 | 中古マンションの価格 | 一戸建ての価格 |
北海道 | 2,025万円 | 1,704万円 |
宮城県 | 2,717万円 | 2,502万円 |
東京都 | 5,956万円 | 5,566万円 |
神奈川県 | 3,782万円 | 3,985万円 |
新潟県 | 1,835万円 | 1,435万円 |
大阪府 | 3,240万円 | 2,327万円 |
広島県 | 2,454万円 | 1,923万円 |
香川県 | 1,796万円 | 944万円 |
福岡県 | 2,333万円 | 2,270万円 |
※出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構|2023(令和5)年11月度 月例速報 Market Watch
地域別にみてみると、東京の相場が圧倒的に高いことがわかります。また、全体的にマンションの方が高値で取引されていることも読み取れるでしょう。
【築年数別】自宅売却の相場目安
次に、築年数別に物件の相場をみてみましょう。
国土交通省の「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」によると、中古住宅の築年数別の市場価値はおおよそ表のように低下していくとされています。
築年数 | 中古マンションの価値※※ | 中古一戸建ての価値※※ |
5年 | 85% | 70% |
10年 | 75% | 50% |
15年 | 70% | 25% |
20年 | 60% | 15% |
25年 | 50% | 15% |
30年 | 40% | 10% |
※参考:国土交通省の|中古住宅流通、リフォーム市場の現状
※※購入時を100%とした場合
例えば3,000万円の物件を売却する場合、築年数別の価格目安は次のとおりです。
築年数 | マンション | 一戸建て |
5年 | 2,550万円 | 2,100万円 |
10年 | 2,250万円 | 1,500万円 |
15年 | 2,100万円 | 750万円 |
20年 | 1,800万円 | 450万円 |
25年 | 1,500万円 | 450万円 |
30年 | 1,200万円 | 300万円 |
中古マンションの方が価値の下落は緩やかで、中古一戸建ては築10年で価値がおおよそ半分、15年を過ぎると価値はほぼなくなってしまうことが読み取れます。
ただし、一戸建て住宅では土地の価値も加味して評価されるため、必ずしも上記のとおりではありません。開発が進んだり利便性が高かったりする土地の場合、むしろ売却時に価値が向上しているケースもあります。
自宅の売却価格を決める要素
住宅の売却価格は、「建物の状態」と「土地の状態」の2つの要素によって決定されます。
ここでは、それぞれで重視されるポイントをみていきましょう。
建物の状態
住宅の売却価格を決める1つ目の要素は、建物の状態です。築年数だけではなく、建物の状態によっても価格は大幅に変動します。
売却価格に影響する具体的な要素としては、次のようなものが挙げられます。
設備の状況やグレード
外壁や屋根の劣化状況
内装の状況
間取りやデザイン
リフォームの有無
耐震強度 など
建物や設備の状態が良好で劣化が少ないほど、売却価格は高くなります。売却時にリフォームをする必要はありませんが、日ごろからお手入れしておくと査定額が上がるかもしれません。
また、二世帯住宅や特殊なデザイン・間取りの住宅は、やや需要が下がるため相場よりも価格が低くなる可能性があります。
土地の状況
住宅の売却価格を決める2つ目の要素は、土地の状態です。利便性や需要が高い土地は、売却価格も高くなります。
売却価格に影響する具体的な要素としては、次のようなものが挙げられます。
駅や商業施設へのアクセス
接道状態
周辺の治安
病院や学校の有無
広さと形状
日当たりのよさ など
活用しやすい土地や生活に便利な土地は、買手がつきやすいため相場よりも高く売れる可能性があります。一戸建て住宅の場合、土地の価値が上昇することで購入時よりも高額な査定額がつくことも少なくありません。
自宅の売却相場を調べる方法
ここまでに紹介した物件の相場は、あくまでデータをもとにした目安となります。住宅の売却価格は物件ごとに異なるため、正確な価格を知りたいときは、より詳細な情報を収集することが大切です。
自宅の売却相場を具体的に調べる方法としては、以下の4つが挙げられます。
取引実績から調べる
売り出し中の物件から調べる
土地の価格から調べる
実際に査定してもらう
各方法の詳細をみていきましょう。
取引実績から調べる
1つ目は、不動産会社が情報を共有するために使用する「レインズ」というシステムを使って、実際の取引実績を調べる方法です。レインズが個人向けに情報を公開している「レインズマーケットインフォメーション」を利用すれば、個人の方でも直近1年間の売買実績を確認可能です。
「レインズマーケットインフォメーション」にアクセスすると、取引物件の条件を入力する画面が表示されます。ここに詳細を入力することで、自宅に近い条件の物件を取引したときの成約価格を調べられます。
地域や条件によっては、取引実績がなかったり情報が表示されなかったりすることがあるため注意が必要です。検索するときは、条件を絞り込みすぎないようにしましょう。
売り出し中の物件から調べる
2つ目は、今実際に売り出されている物件の情報をもとに相場を知る方法です。SUUMOやat homeなどの不動産ポータルサイトを使えば、近隣地域でどのような物件がいくらで売り出されているのかを知ることができます。
ただし、不動産ポータルサイトに掲載されている価格は、実際の取引価格とは異なります。販売活動や商談のなかで成約価格が下がることもあるので、あくまで目安として考えておきましょう。
土地の価格から調べる
3つ目は、土地の価格から調べる方法です。自宅の建物が古い場合は、この方法で相場を調べることがおすすめです。
一戸建ての資産価値は築年数に大きく左右され、20年を過ぎるとほぼゼロになるといわれています。そのため、築年数が長い自宅を売却するときは、土地の価格を基準に取引をするケースが少なくありません。
土地の価格は、「土地総合情報システム」から調べましょう。「不動産取引価格情報検索」という機能を使って地域や条件を指定すれば、お近くの土地の取引実績を閲覧できます。
実際に査定してもらう
4つ目は、実際に自宅を査定してもらう方法です。正確な売却価格を知りたいのであれば、この方法がもっとも確実でしょう。
ここまでの方法で調べた相場は目安であり、実際の所有物件を売却するときの取引価格とは異なるケースがほとんどです。プロに依頼すれば、建物の状態や土地の条件、市場の動向を加味したうえで「現実的に売れそうな価格」を算出してもらえるため、正確な相場を知ることができます。
査定額は不動産会社によってバラつきがあるため、可能であれば複数の会社に査定を依頼することがおすすめです。
自宅の売却前に行っておきたい準備
自宅を適正価格で売却するには、以下のような事前準備が重要となります。
信頼できる不動産会社を探す
余裕のあるスケジュールを立てる
自分で情報収集する
内覧に備える
納得のいく自宅売却のためにも、上記4点について詳しくみていきましょう。
信頼できる不動産会社を探す
自宅売却でもっとも重要なのは、信頼できる不動産会社を見つけることです。
担当業者によって、売却価格が数百万円単位で変わることは珍しくありません。複数の会社に査定を依頼し、より熱心に販売活動を行ってくれる業者を探しましょう。
依頼する不動産会社を見極めるときは、机上査定ではなく訪問査定を受けることがおすすめです。その際、査定額の根拠や売却戦略などを確認しておくと安心でしょう。
売れにくい物件の場合は、1社のみと契約する「専任媒介契約」を検討してみてください。複数社と契約できる「一般媒介契約」の場合と比べて、熱心に販売活動を行ってもらえる可能性が高まります。
余裕のあるスケジュールを立てる
自宅を売却するときは、余裕のあるスケジュール計画を立てておきましょう。急いで売却を進めると、条件や価格を適切に設定できない可能性があるためです。
仲介を希望する場合、最低でも半年は売却にかかると考えておきましょう。「急いで売却したい」「確実に売却したい」というときは、買取を検討するのもひとつの手です。
自分で情報収集する
適正な取引を実現するためにも、すべてを不動産会社に任せきりにするのではなく、自分でも情報収集することを心がけましょう。
何も知らない状態で不動産会社に丸投げしてしまうと、売主に不利な条件を提示されるおそれがあります。近隣物件の相場や需要などを把握しておくことで、不動産会社が提示する価格や戦略が妥当かどうかを判断しやすくなります。
内覧に備える
住宅の印象は、物件価格に大きく影響します。仲介を希望する場合は、内覧で少しでもよい印象を与えられるように準備を行っておきましょう。
わざわざリフォームを行う必要はありませんが、可能な範囲で室内の掃除や庭のお手入れなどを行っておくと好印象を与えやすくなります。また、内覧時の売主の対応も購入意思に影響するので、買主目線の説明や丁寧な対応ができるように備えておくと安心です。
「どこをお手入れしておくとよいか」「どのような準備をしておけばよいか」など、わからないことがあれば不動産会社に尋ねておきましょう。
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自宅売却の相場は、地域や築年数に左右されます。また、建物や土地の状態も売却査定額に影響を与えるため、「自宅のケースではどうなのか」を把握することが大切です。
自宅の売却相場はさまざまな方法で調べられますが、いずれもあくまで目安であり、実際の取引価格とは異なることを理解しておきましょう。正確な売却価格を知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼することがおすすめです。
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