いらない田舎の土地を処分する方法9選|放置するリスクも解説
田舎に土地を所有しているものの、遠方で管理が難しく処分を考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、土地を処分する9つの方法と放置するリスクについて詳しく解説します。不動産のプロが、土地の状況に応じた最適な処分方法を紹介しますので、土地の有効活用や処分をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
いらない田舎の土地を処分する方法9選
土地の処分方法は、売却や寄付、活用など様々な選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自身の状況に合った方法を選択しましょう。
売却による処分
まずは、最も一般的な売却による処分方法から紹介します。土地の売却をしたことがなくても、専門家の助けを得ることでスムーズな売却が可能です。
以下、主な売却先をみていきましょう。
不動産会社を介して売却する
不動産会社を介した売却は、最も一般的で安全な処分方法です。専門知識を持った不動産会社が物件調査から価格査定、買い手の募集、契約手続きまで一貫してサポートしてくれるため、現地から離れた場所にお住まいの方や、不動産取引の経験が少ない方に向いています。
また早期売却を希望する場合は、買取専門の不動産会社の利用も選択肢の一つとなります。不動産買取は通常の売却よりも低価格になる傾向がありますが、スピーディーな売却が可能です。
仲介・買取ともに、土地の価値を最大限に引き出すためには、土地の特徴や地域性を理解している地元の不動産会社に依頼することが重要です。複数の不動産会社に相見積もりを依頼し、条件に合致する会社を選定しましょう。
関連記事:土地売却の流れを6ステップで解説|費用や税金、必要書類、注意点も
関連記事:土地買取の進め方は?流れ・メリットから高く売るコツ、業者の選び方まで解説
隣地所有者に売却する
隣接地の所有者への売却は、双方にメリットがある方法です。買い手にとっては土地を拡張できる機会となり、売り手にとっては確実な売却先を見つけられる可能性が高まります。
隣地所有者に売却する場合、まず土地の登記簿謄本から隣地所有者の情報を確認します。その後、地域の不動産業者や自治会長などを通じて、隣地所有者への打診を行います。このように直接交渉は避け、第三者を介して話を進めることでスムーズな取引につながるでしょう。
なお農地の場合は農地法の制限があるため、農業委員会への許可申請が必要となる場合も。事前に必要な手続きを確認し、計画的に進めていくことが大切です。
自治体に売却する
道路拡張や公園整備など、公共の目的で使用される可能性がある土地であれば、自治体が買い取ってくれる場合があります。自治体が買い取る場合は適正価格での取引が期待でき、手続きも確実です。
ただし自治体が土地を必要としている場合に限られるため、売却できる機会は限定的となります。まずはお住まいの市区町村の担当窓口(一般的に宅地課)に相談してみると良いでしょう。都市計画などの将来的な開発計画に合致する場合は、検討の余地があるかもしれません。
無償での処分
売却が難しい土地の場合、無償での処分方法も検討する価値があります。特に維持管理費用が土地の価値を上回るような場合や、相続で取得した土地の処分を考えている場合に有効な選択肢です。
無償での処分方法について、それぞれの特徴と手続きを解説します。
自治体に寄付する
自治体への土地寄付は、公共の利益に適う場合に限り受け入れられる可能性があります。ただし自治体は管理コストが発生する土地の受け入れには慎重な姿勢を示すことが一般的です。
以下は、寄付が受け入れられやすい土地の条件です。
- 公園や道路用地として活用可能な場所
- 公共施設の隣接地
- 災害時の避難場所として適している土地
- 文化財保護に関連する土地
また2023年4月からは「相続土地国庫帰属制度」が施行され、一定の要件を満たす相続土地については手数料を支払って国庫に帰属させることが可能となりました。手数料は土地の面積に応じて10万円から30万円程度となっています。
相続放棄する
相続放棄は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述することで、土地を含むすべての相続財産を放棄できる方法です。特に相続財産に多額の負債が含まれている場合や、相続争いを避けたい場合に有効な選択肢となります。
ただし相続放棄には、以下のようなデメリットもあります。
- 土地だけを選んで放棄することはできない
- プラスの財産もすべて放棄することになる
- 一度放棄すると撤回はできない
なお、すでに相続を承認してしまった場合や期限を過ぎた場合は相続放棄ができないことも理解しておきましょう。
活用による処分
すぐに売却や寄付が難しい土地でも、活用することで収益を得ながら将来的な処分の機会を待つことができます。以下、具体的な活用方法について解説します。
貸土地として活用する
土地を賃貸することで、定期的な収入を得ながら所有を継続できます。
以下は、一般的な賃貸方法です。
駐車場 |
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資材置き場 |
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農地 |
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土地を貸し出す前には、必ず土地の権利関係や法的な利用制限を確認しましょう。また固定資産税の支払い状況や近隣住民への配慮事項も事前に確認し、トラブルを防ぐことが大切です。
事業活用する
田舎の土地でも、地域特性を活かした事業展開により収益を生み出すことが可能です。
以下、初期投資の規模別に代表的な事業活用方法を紹介します。
低コストで始められる事業 |
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中規模の投資で始められる事業 |
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大規模投資が必要な事業 |
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事業による活用は、将来的な売却や相続も見据えた土地の価値向上につながる可能性があります。専門家に相談しながら、慎重に検討を進めましょう。
行政サービスを活用した処分
土地の処分に悩んでいる方のために、行政が提供している便利なサービスがあります。これらのサービスを活用することで、新しい所有者を見つけやすくなります。特に田舎の土地は、行政サービスを利用することで、移住希望者とのマッチングが期待できます。
空き地・空き家バンクに登録する
空き地・空き家バンクは、自治体が運営する土地や建物の売買・賃貸のマッチングサービスです。地域の活性化を目的としており、田舎暮らしを希望する方々への情報提供の場として機能しています。
空き地・空き家バンクに登録する条件は以下のとおりです。
- 対象となる自治体のエリア内にある土地であること
- 不動産会社との媒介契約が結ばれていないこと
- 法令違反がないこと
登録の流れとしては、まず対象となる自治体に空き家バンク制度があるか確認し、自治体の担当窓口に相談します。その後、申込書の提出や現地調査・価格設定を経て情報が公開されます。
なお平成30年4月からは全国版空き家・空き地バンクが運営されており、より広域での情報発信が可能になりました。地方への移住ニーズの高まりを受け、空き地・空き家バンクへの登録は、土地処分の有効な選択肢の一つといえるでしょう。
参考:建設産業・不動産業:空き家・空き地バンク総合情報ページ - 国土交通省
農地バンクに登録する
農地バンクは、農林水産省が推進する農地の貸し借りをサポートする制度です。農地中間管理機構が仲介役となり、所有する農地を担い手に貸し付けることができます。
農地バンクを利用するメリットには以下のようなものがあります。
- 固定資産税と都市計画税が3年間減税される場合がある
- 賃料の未払いリスクがない
- 契約手続きが簡素化される
- 遊休農地の有効活用ができる
令和5年からは法改正により、所有者不明農地や遊休農地も対象となっています。これにより、これまで活用が難しかった農地でも、農地バンクを通じて新たな担い手に貸し付けることが可能になりました。
なお、農地バンクに登録できない場合もあります。例えば、転用目的と認められる場合や農地法に違反している場合、所有権以外の権利が設定されている場合などは登録が認められません。農地バンクへの登録を検討する際は、まずは地域の農地中間管理機構に相談しましょう。
いらない田舎の土地を放置するリスク
いらない田舎の土地を放置することには、様々なリスクが伴います。以下、具体的なリスクについて解説していきましょう。
維持費がかかる
いらない田舎の土地を放置するリスクとして、固定資産税などの費用がかかることが挙げられます。200平米の土地の場合、固定資産税は年間約20万円程度かかるでしょう。また市街化区域内の土地では、都市計画税も追加で課税されていきます。これらの税金は、土地を所有している限り避けることができません。
特に注意が必要なのは、土地が「特定空家等」に指定された場合です。この場合、固定資産税が最大で約6倍に跳ね上がることも。また自治体から改善命令が出された場合、強制的な整備費用を請求されることもあり得るでしょう。
このように、土地を放置しているだけでも予想以上の費用負担が発生します。土地の価値と比較して維持費が見合わない場合は、早めの処分を検討することをおすすめします。
近隣トラブルが発生しやすい
管理されていない土地は、周辺住民とのトラブルの原因となりやすいものです。特に雑草の繁茂による害虫の発生や、不法投棄の問題が深刻となっています。
このような状況が続くと、近隣住民から自治体への相談に発展する可能性も。自治体による指導や是正勧告などの行政処分を受けることもあり得るでしょう。特に深刻な場合、特定空家等への指定により、固定資産税が最大6倍に増額されるケースもあります。
土地所有者の社会的責任として、適切な管理を行うことが求められています。
不法侵入や放火のリスクがある
管理が行き届いていない土地は、防犯上の問題を引き起こす可能性があります。特に人目につきにくい場所では、不法侵入や放火など犯罪の標的となりやすいです。
万が一、不法侵入者が事故に遭った場合、土地所有者が管理責任を問われる可能性も。また、放火などによって近隣に被害が及んだ場合、損害賠償を請求される事態も想定されます。
このような事態を防ぐためには、定期的な見回りやフェンスの設置、防犯カメラの導入など、適切な管理体制を整えることが欠かせません。土地の管理を放置することは、予期せぬ法的責任や経済的負担を招く可能性があることを認識しておく必要があるでしょう。
将来的な処分費用が増大する
土地を放置し続けることで、将来的な処分費用が増大することも大きなリスクです。特に田舎の土地は、年々価値が下がる傾向にあります。
さらに、相続が発生した際の問題も考えられます。相続人の特定や権利関係の整理に費用がかかるだけでなく、相続税の支払いも必要となる可能性があります。特に、相続人が複数いる場合は、権利関係の整理に多額の費用が必要となることも予想されるでしょう。
このように、土地を放置することで将来的な負担は確実に増加していきます。これらの費用を最小限に抑えるためにも、早めに処分や活用の方法を検討することが大切です。
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