住み替えとは?買い替えとの違いと主な理由
まずは「住み替え」という言葉の基本的な意味から確認していきましょう。似た言葉である「買い替え」との違いや、皆さんがどのような理由で住み替えを検討しているのかを知ることで、ご自身の状況を客観的に見つめ直すきっかけになります。
「住み替え」と「買い替え」の意味の違い
「住み替え」と「買い替え」は同じように使われがちですが、実は少し意味合いが異なります。
- 住み替えとは
現在の住まいから新しい住まいへ移る行為全般。今の家を売って新しい家を買う「売買」だけでなく、賃貸物件へ引っ越す場合も「住み替え」に含まれます。 - 買い替えとは
文字通り、現在の家を売却し、新しい家を「購入」すること。住み替えの一部に含まれます。
この記事では、購入・賃貸の両方を含む広い意味での「住み替え」について解説していきます。
住み替えを検討する主な理由
(参考:国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」等)
ライフステージの変化(減築・コンパクト化):広すぎる家の管理負担軽減。
省エネ・断熱性能への不満:2025年の省エネ基準適合義務化以降、古い家の「寒さ・暑さ」と「光熱費」がより課題となっています。
利便性と「車の運転」:自動運転技術の普及が進む一方、免許返納を見据えた「駅近・徒歩圏内」への需要がさらに高まっています。
- 親との同居・介護
高齢になった親の近くに住んだり、同居のために住み替えるケースもあります。家族の事情が大きなきっかけとなります。
ライフステージ別の住み替えタイミング
| タイミング | 主なきっかけ |
|---|---|
| 子供の独立 | 広さの見直し、物の整理 |
| 定年退職 | 通勤不要になり、好きな場所を選べる |
| 健康面が気になり始めた時 | 早期実施で負担軽減。判断力があるうちに |
気力や判断力がしっかりしているうちに、大きな決断をすることをおすすめします。

住み替えのメリット【生活・金銭面】
住み替えには、これからの人生をより豊かに、快適にするための多くのメリットがあります。ここではマンションへの住み替えをメインに考えてみます。
✔生活利便性の向上
〇駅・商業施設・病院が近い生活
〇ワンフロアで段差の少ない環境
〇外出が楽になる
〇暮らしのQoL(生活の質)が高まります。
✔家の維持管理がラクに
などの戸建てと比較してマンションは庭の手入れや外壁・屋根のメンテンナンスなどの理負担が少ないため、
〇手間削減
〇安心感向上
が実現します
✔資産の現金化・老後資金の確保
〇持ち家を売却 → 現金化
〇より安い住宅へ移る → 差額を生活費に活用
売却して得た資金を元手に、より価格の安い物件に住み替えれば、差額を老後資金として確保できます。 老後の備えとして大切な選択肢です。
✔最新設備・高いセキュリティ
住み替え先がマンションであれば、
〇高気密高断熱で光熱費削減
〇オートロックなど防犯面向上
〇宅配ボックスなど便利機能付き
など、安心・快適な暮らしが叶います。
住み替えのデメリットと注意点

多くのメリットがありますが、事前に以下の点を必ず理解しておきましょう。
✔売却と購入のタイミング調整が難しい
住み替えで最も難しいのが、今の家の「売却」と新しい家の「購入(または賃貸契約)」のタイミングを合わせることです。このタイミングによって、仮住まいなど予定外の費用が必要になる可能性があります。
✔仲介手数料や税金などの諸費用
- 売却時にかかる費用
仲介手数料、印紙税、抵当権抹消登記費用など - 購入時にかかる費用
仲介手数料、印紙税、不動産取得税、登録免許税、ローン手数料など - その他
引越し費用、新しい家具・家電の購入費用など
これらの諸費用は、一般的に売買価格の合計の7%~10%程度が目安と言われています。(売却価格3%+購入価格7% ≒ 合計7〜10%)
※現在は電子契約が主流となり、数万円の印紙税を節約できるケースが増えています。
✔住宅ローン残債と新規ローンの課題
現在の家の住宅ローンが残っている場合、原則として売却時に一括で完済する必要があります。 売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」状態だと、自己資金で差額を補填しなければなりません。
また、年齢が上がると新しい住宅ローンの審査が厳しくなります。自己資金を多めに用意するなど、慎重な資金計画が求められます。
※近年は金利が上昇傾向にあるため、新たに住み替えローンを組む場合は、以前よりも毎月の返済負担が大きくなる可能性があります。より慎重なシミュレーションが必要です。
✔新しい環境への適応
近所付き合いもゼロから始まります。人によっては大きな精神的負担となることも想定しておきましょう。
老後の住み替えで後悔しないために
特に60歳以降の住み替えは、人生の満足度や質に大きく関わります。
安全性・快適性を最優先に
- バリアフリー設計
室内の段差がなく、廊下やトイレ、浴室に手すりが設置されているなど、車椅子での生活も想定した設計が理想です。 - ヒートショック対策
浴室暖房や高断熱窓などを備え、家の中の温度差をなくす工夫がされていると安心です。 - 緊急時対応サービス
緊急通報ボタンが設置されていたり、コンシェルジュが常駐していたりするマンションも増えています。
60歳からの選択「購入 or 賃貸」の判断基準
老後の住み替えでは、「購入」と「賃貸」のどちらを選ぶべきか、悩む方が非常に多いです。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の状況に合わせて判断しましょう。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 購入 | 資産として残る。リフォーム自由 | 初期費用が高く、固定費も継続する |
| 賃貸 | ライフプランに合わせ住み替え可 | 資産にならない。審査が厳しいことも |
判断のポイントは、手持ちの資金、将来の収入見込み、そして「終の棲家」と決めるか、まだ変化の可能性を残したいかというライフプランです。
戸建て → マンションへの住み替え注意点
- 管理費・修繕積立金が必要
マンション内予算の見直しが行われ、入居当初よりも上がる可能性もあります。 - 収納スペースの減少
一般的にマンションは戸建てに比べて収納が少ない傾向があります。住み替えを機に、思い切って断捨離をする覚悟が必要です。 - 生活音への配慮
集合住宅なので、上下左右の部屋への生活音には配慮が求められます。
老後の資金計画で気をつけること
老後の住み替えで最も重要なのが、無理のない資金計画です。
家の売却益を過信せず、諸費用や税金、将来の医療・介護費なども考慮に入れた上で、手元にいくら残しておくべきかをシミュレーションしましょう。

住み替えの流れ「売却先行」と「購入先行」
住み替えの手続きには、大きく分けて「売却先行」と「購入先行」の2つの進め方があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
相談から引越しまでの全体スケジュール
まずは、住み替えの全体像を把握しましょう。一般的には以下のような流れで進み、期間は半年から1年以上かかることも珍しくありません。
- 情報収集・不動産会社へ相談
- 自宅の査定・資金計画の具体化
- (売却先行の場合)売却活動開始 → 売買契約
- 新居探し
- (購入先行の場合)購入申し込み → 売買契約
- 住宅ローンの手続き
- 決済・物件の引渡し(売却・購入)
- 引越し・入居
売却先行
今の家を売却してから、新しい家を探す方法です。
- メリット
売却価格が確定するため、資金計画が非常に立てやすいのが最大の利点です。オーバーローンの心配もなく、予算内でじっくり新居を探せます。 - デメリット
売却から新居の入居までに期間が空くと、仮住まい(賃貸住宅やウィークリーマンションなど)が必要になる可能性があります。その場合、余計な費用と2度の引越しの手間がかかります。
購入先行
新しい家を購入(契約)してから、今の家を売却する方法です。
- メリット
気に入った物件を逃さず、じっくりと時間をかけて新居を探せるのが魅力です。仮住まいの心配もなく、スムーズに引越しができます。 - デメリット
今の家が想定した価格や期間で売れない場合、新旧両方の住宅費用を支払うリスクがあります。新しい家のローンは旧ローン完済後に組むことになるため、残債がある場合は手持ちの出費が多くかかります。
どちらを選ぶべきかの判断ポイント
どちらの方法が良いかは、その人の状況によって異なります。
- 売却先行がおすすめな人
- 自己資金にあまり余裕がない人
- 資金計画をきっちり立てて、着実に進めたい人
- 住宅ローンの残債が多い人
- 購入先行がおすすめな人
- 自己資金が豊富な人
- どうしても住みたい物件が見つかった人
- 自宅が人気エリアにあり、早期売却が見込める人
不動産会社の担当者と相談しながら、ご自身の資金状況や市場の動向を踏まえて慎重に判断しましょう。
住み替えの費用と資金計画の立て方
住み替えにはどれくらいの費用がかかるのか、具体的に見ていきましょう。事前に把握しておくことで、安心して計画を進めることができます。
売却と購入にかかる諸費用
住み替えの諸費用例:
売却価格:2,000万円 → 諸費用60万円程度
購入価格:3,000万円 → 諸費用210万円程度
▶総諸費用:約270万円
資金は「売却価格」頼みにならない計画が重要。
売却にかかる主な諸費用
- 仲介手数料
売却価格に応じて変動(上限:売却価格×3%+6万円+消費税) - 印紙税
売買契約書に貼る印紙代(1万円~) - 抵当権抹消登記費用
住宅ローンが残っている場合(数万円程度)
購入にかかる主な諸費用
- 仲介手数料
購入価格に応じて変動(上限:購入価格×3%+6万円+消費税) - 印紙税
売買契約書・ローン契約書に貼る印紙代 - 登録免許税
不動産の所有権を登記するための税金 - 不動産取得税
不動産を取得したときにかかる税金(後日納付) - 住宅ローン関連費用
保証料、事務手数料など - 火災保険料・地震保険料
※仲介手数料は2024年7月の法改正により、売却価格が800万円以下の場合は
最大30万円+消費税となる場合があります。
自宅の売却価格を調べる査定方法
住み替えの資金計画を立てる第一歩は、「今の家がいくらで売れるのか」を把握することです。そのためには、不動産会社に査定を依頼します。
査定には、物件情報だけで簡易的に価格を出す「机上査定」と、実際に物件を見て詳細な価格を出す「訪問査定」があります。
正確な売却価格を知るためには、複数の不動産会社に訪問査定を依頼し、査定額やその根拠、担当者の対応などを比較検討することが非常に重要です。最近では、インターネットの「不動産一括査定サイト」を利用すれば、一度の入力で複数の会社にまとめて査定を依頼できるので便利です。
住宅ローンが残っている場合の対処法
前述の通り、住宅ローンが残っている家を売るには、売却代金でローンを完済する必要があります。
もし、売却価格がローン残高を下回る「オーバーローン」になってしまった場合は、以下の方法を検討します。
- 自己資金で不足分を補う
貯蓄などで差額を支払い、ローンを完済します。 - 「住み替えローン」を利用する
現在のローン残債と新しい家の購入資金をまとめて借り入れできるローン商品です。ただし、借入額が大きくなるため審査は厳しく、誰でも利用できるわけではありません。
まずは査定を受けて、ご自身の家がオーバーローンにならないかを確認することが先決です。
まとめ
今回は、住み替えのメリット・デメリットから、老後の住み替えのポイント、具体的な流れや費用まで、網羅的に解説しました。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 利便性向上・快適な暮らし | 売却と購入の調整が難しい |
| 維持管理の負担軽減 | 諸費用がかかる |
| 資産の現金化・老後資金確保 | ローン残債の問題 |
| 最新設備と安心な住環境 | 新環境への適応 |
住み替えのメリット
- 生活の利便性が向上し、快適な暮らしが手に入る
- 家の維持管理の負担が軽くなる
- 資産を現金化し、老後資金を確保できる
- 最新の設備や高いセキュリティで安心して暮らせる
住み替えのデメリット
- 売却と購入のタイミング調整が難しい
- 仲介手数料や税金などの諸費用がかかる
- 住宅ローンの残債や新規ローンの問題がある
- 新しい環境への適応にストレスを感じることがある
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住み替えは、これからの人生をより豊かに、そして安心して過ごすための素晴らしい選択肢です。しかし、それは同時に、あなたの資産やライフプランに大きな影響を与える決断でもあります。
後悔しないためには、メリットとデメリットの両方を正しく理解し、ご自身の希望や資金状況を整理した上で、信頼できる不動産のプロに相談しながら慎重に進めることが何よりも大切です。
この記事が、あなたの「住み替え」という大きな一歩を、確かなものにするための一助となれば幸いです。まずは、ご自身の住まいの価値を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
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