不動産売却の税金シミュレーションツール
不動産売却でかかる税金(譲渡所得税・住民税)の概算を計算してみましょう。以下の項目に数値を入力し、ご自身の状況に近いボタンを押して計算の考え方を確認してください。
【簡単シミュレーション項目】
1.売却価格(譲渡価額)・不動産がいくらで売れた(売れそう)か
2.取得費
・不動産を購入したときの代金や諸費用
3.譲渡費用
・売却時にかかった仲介手数料などの費用
4.所有期間
・売却した年の1月1日時点で5年を超えているか
5.特例の利用
・マイホームの売却で「3,000万円特別控除」を利用できるか
▼計算の考え方
- 譲渡所得を計算
売却価格 - (取得費 + 譲渡費用) - 課税譲渡所得を計算
譲渡所得 - 特別控除額 - 税額を計算
課税譲渡所得 × 税率
※このシミュレーションはあくまで概算です。減価償却費や各種特例の適用条件など、個別の状況によって税額は変動します。正確な金額は、税務署や税理士にご相談ください。
譲渡所得税の計算方法4ステップ
シミュレーションで大まかなイメージが掴めたところで、その裏側にある譲渡所得税の計算方法を4つのステップで詳しく見ていきましょう。この流れを理解すれば、ご自身でより正確な税額を計算できるようになります。
ステップ1:譲渡所得を計算する
まず、不動産売却によってどれくらいの利益が出たのかを計算します。この利益のことを「譲渡所得」と呼びます。
計算式
譲渡所得 = 譲渡価額(売却価格) - (取得費 + 譲渡費用)簡単に言うと、「売却価格」から「取得にかかった費用」と「売却にかかった費用」を差し引いたものが、税金の計算の元になる利益です。もしこの計算結果がマイナス(損失)になった場合は、譲渡所得税はかかりません。
ステップ2:所有期間を確認する(短期・長期)
次に、売却した不動産をどれくらいの期間所有していたかを確認します。所有期間によって税率が大きく変わるため、非常に重要なステップです。
所有期間は、売却した年の1月1日時点で5年を超えているかどうかで判断されます。
- 短期譲渡所得
- 所有期間が5年以下の場合。税率が高くなります。
- 長期譲渡所得
- 所有期間が5年超の場合。税率が低く優遇されます。
ステップ3:特別控除を差し引く
譲渡所得の全額に税金がかかるわけではありません。一定の条件を満たすと、譲渡所得からさらに大きな金額を差し引ける「特別控除」が利用できます。
計算式
課税譲渡所得 = 譲渡所得 - 特別控除最も代表的なのが、マイホームを売却した際に利用できる「居住用財産の3,000万円特別控除」です。この特例を使えば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。多くのケースで、この控除によって税金が0円になります。
ステップ4:税率をかけて税額を算出
最後に、ステップ3で計算した「課税譲渡所得」に、ステップ2で確認した所有期間に応じた税率をかけて税額を算出します。
計算式
税額 = 課税譲渡所得 × 税率税率には所得税、復興特別所得税、住民税が含まれます。
- 長期譲渡所得(所有期間5年超)の税率
- 20.315% (所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%)
- 短期譲渡所得(所有期間5年以下)の税率
- 39.63% (所得税30% + 復興特別所得税0.63% + 住民税9%)
このように、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が約2倍も違うため、売却のタイミングは非常に重要です。
(参考:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」)
(参考:国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」)
計算に必要な費用の内訳
譲渡所得の計算を正確に行うためには、「取得費」と「譲渡費用」に何が含まれるのかを正しく理解しておく必要があります。
取得費とは?購入代金や手数料
取得費とは、売却した土地や建物を購入(取得)したときにかかった費用の合計です。主な費用は以下の通りです。
- 土地や建物の購入代金、建築代金
- 購入時の仲介手数料
- 購入時の登録免許税、不動産取得税、印紙税
- 測量費、整地費、建物の解体費など
- 設備費や改良費
これらの費用を証明する売買契約書や領収書は必ず保管しておきましょう。
譲渡費用とは?仲介手数料や印紙税
譲渡費用とは、不動産を売却するために直接かかった費用のことです。代表的なものは以下の通りです。
- 仲介手数料
- 不動産会社に支払う手数料です。
- 印紙税
- 売買契約書に貼る印紙の代金です。
- 登記費用
- 抵当権抹消などにかかる登録免許税や司法書士への報酬です。
- 建物の解体費用
- 土地を更地にして売る場合にかかる費用です。
- 立退料
- 賃貸物件の入居者に立ち退いてもらうために支払う費用です。
取得費が不明な場合の計算方法
「親から相続した不動産で、購入時の契約書がない」「昔のことで取得費が分からない…」というケースも少なくありません。
このように取得費が不明な場合は、「概算取得費」として売却価格の5%を取得費とすることができます。
計算式
概算取得費 = 売却価格 × 5%ただし、この方法は実際の取得費よりもかなり低く計算されることが多く、結果的に譲渡所得が大きくなり、税金が高額になる可能性があります。契約書が見つからない場合でも、購入時のパンフレットや住宅ローンの契約書など、何らかの資料がないか探してみることをおすすめします。
建物の減価償却費の計算方法
建物は年月の経過とともに価値が減少していきます。そのため、建物の取得費を計算する際は、購入代金からこの価値の減少分である「減価償却費」を差し引く必要があります。
計算式
建物の取得費 = 建物購入代金 - 減価償却費マイホームなど非事業用の建物の減価償却費は、以下の式で計算します。
計算式
減価償却費 = 建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数償却率は建物の構造によって異なり、耐用年数を1.5倍にして償却率を決めます。

主な構造と償却率の例
- 木造:0.031
- 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造:0.015
例えば、3,000万円で購入した木造住宅に20年住んだ場合の減価償却費は、3,000万円 × 0.9 × 0.031 × 20年 = 16,740,000円
となり、この金額を建物購入代金から差し引いて取得費を計算します。
(参考:国税庁「No.3261 建物の取得費の計算」)
税額を抑える特別控除と特例
不動産売却の税金は高額になりがちですが、条件を満たせば税負担を大幅に軽減できる特別控除や特例が用意されています。ここでは代表的なものを4つご紹介します。
居住用財産の3,000万円特別控除
マイホーム(居住用財産)を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる非常に強力な特例です。
主な適用要件
- 自分が住んでいる家屋、またはその家屋と共に譲渡する敷地の売却であること。
- 以前住んでいた場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
- 売却した年の前年、前々年にこの特例や他の特例(買換え特例など)を利用していないこと。
- 親子や夫婦など、特別な関係の相手への売却ではないこと。
この特例が適用できれば、譲渡所得が3,000万円以下の場合、税金はかかりません。
(参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」)
10年超所有の軽減税率の特例
売却したマイホームの所有期間が10年を超えている場合、上記の3,000万円特別控除を適用した後の課税譲渡所得に対して、さらに低い税率が適用される特例です。
主な適用要件
- 売却した年の1月1日時点で、家屋と土地の所有期間が共に10年を超えていること。
- 3,000万円特別控除の適用要件を満たしていること。
軽減後の税率
- 課税譲渡所得6,000万円以下の部分
- 14.21%(所得税10% + 復興特別所得税0.21% + 住民税4%)
- 課税譲渡所得6,000万円超の部分
- 20.315%(通常の長期譲渡所得税率)
3,000万円特別控除と併用できるため、長年住んだマイホームを売却する際に大きな節税効果が期待できます。
(参考:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」)
相続空き家の3,000万円特別控除
相続したものの誰も住んでいない実家(空き家)を売却した場合に、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例です。
主な適用要件
- 相続または遺贈により取得した家屋であること。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
- 売却代金が1億円以下であること。
- 家屋を解体して土地のみを売却するか、耐震リフォームをして売却すること。(令和6年1月1日以降の売却であれば、売却後に買主が工事を行う場合も対象になる可能性がある)
- 住宅ローン控除との併用不可
(参考:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)
特定の居住用財産の買換え特例
マイホームを売却し、新たにマイホームに買い換える場合に、売却益に対する課税を将来に繰り延べることができる特例です。
この特例は課税が免除されるわけではなく、あくまで「先送り」する制度です。3,000万円特別控除や軽減税率の特例とは選択制で、併用はできません。どちらが有利かは、買い換える物件の価格や将来のライフプランによって異なります。
(参考:国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」)
【具体例】売却ケース別シミュレーション
ここでは、具体的なケースを想定して税金がいくらになるかシミュレーションしてみましょう。
マイホーム(一戸建て)を売却した場合
設定
- 売却価格:5,000万円
- 取得費:3,500万円(土地・建物代+諸費用)
- 譲渡費用:180万円
- 所有期間:15年(長期譲渡所得)
- 特例:3,000万円特別控除を適用
計算
- 譲渡所得
5,000万円 - (3,500万円 + 180万円) = 1,320万円 - 課税譲渡所得
1,320万円 - 3,000万円(特別控除) = 0円 - 税額
0円
このケースでは、3,000万円特別控除の適用により、譲渡所得税はかかりません。
マンションを売却した場合
設定
- 売却価格:4,500万円
- 取得費:4,000万円(購入代金+諸費用)
- 譲渡費用:160万円
- 所有期間:4年(短期譲渡所得)
- 特例:なし(投資用マンションと仮定)
計算
- 譲渡所得
4,500万円 - (4,000万円 + 160万円) = 340万円 - 課税譲渡所得
340万円 - 税額
340万円 × 39.63% = 約134.7万円
所有期間が短いため高い税率が適用され、高額な税金が発生します。
土地を売却した場合
設定
- 売却価格:2,000万円
- 取得費:不明(概算取得費を適用)
- 譲渡費用:100万円
- 所有期間:30年(長期譲渡所得)
- 特例:なし(更地のため)
計算
- 取得費(概算)
2,000万円 × 5% = 100万円 - 譲渡所得
2,000万円 - (100万円 + 100万円) = 1,800万円 - 課税譲渡所得
1,800万円 - 税額
1,800万円 × 20.315% = 約365.6万円
取得費が不明なため概算取得費を用いると、譲渡所得が大きくなり税額も高くなる典型的な例です。
相続した不動産を売却した場合
設定
- 売却価格:2,500万円
- 取得費:不明(概算取得費を適用)
- 譲渡費用:120万円
- 所有期間:長期譲渡所得
- 特例:相続空き家の3,000万円特別控除を適用
計算
- 取得費(概算)
2,500万円 × 5% = 125万円 - 譲渡所得
2,500万円 - (125万円 + 120万円) = 2,255万円 - 課税譲渡所得
2,255万円 - 3,000万円(特別控除) = 0円 - 税額
0円
このケースでは、相続空き家の特例を適用することで、税金の支払いがなくなりました。
不動産売却の税金に関するよくある質問
税金はいつまでに支払う?確定申告の時期
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、売却した年の翌年の2月16日から3月15日までの間に、ご自身で確定申告を行う必要があります。納税も原則としてこの期間内に行います。利益が出たのに申告を忘れると、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されるため注意が必要です。
売却で損失が出た場合(譲渡損失)
不動産を売却して損失が出た場合(譲渡損失)、譲渡所得税はかかりません。
さらに、マイホームの売却で損失が出た場合は、「損益通算」や「繰越控除」という特例を利用できる可能性があります。これは、売却損失を給与所得や事業所得など他の所得と相殺することで、納めた所得税や住民税の還付を受けられる制度です。損失が出た場合でも、節税につながる可能性があるため確定申告を検討しましょう。
(参考:国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」)
ふるさと納税の控除上限額への影響
不動産売却によって譲渡所得が発生すると、その年の所得が増えるため、ふるさと納税の控除上限額も増える可能性があります。より多くの寄付をして返礼品を受け取れるチャンスですが、3,000万円特別控除などを利用して課税譲渡所得が0円になった場合は、控除上限額に影響はありません。
税金対策で不動産会社に相談するメリット
不動産売却の税金計算や特例の適用は非常に複雑です。自分で判断するのが難しいと感じたら、専門家に相談するのが一番の近道です。
信頼できる不動産会社であれば、売却の相談だけでなく、提携している税理士を紹介してくれるなど、税金に関するサポートも期待できます。不動産を査定してもらう際には、税金対策についても相談できるか確認してみると良いでしょう。複数の会社に相談し、最も親身に対応してくれるパートナーを見つけることが、売却成功の鍵となります。
