不動産相続

実家を相続する流れを5ステップで解説|相続後の活用方法やトラブル例も

実家を相続する流れを5ステップで解説|相続後の活用方法やトラブル例も
目次

実家の相続は、多くの人にとって人生で一度きりの出来事です。しかし相続手続きは初めての方には複雑なうえ、家族間のトラブルや予期せぬ税金の負担など、様々な問題に直面することもあります。

そこでこの記事では、実家を相続する際の5つの重要なステップを詳しく解説します。相続後の活用方法や起こりやすいトラブル例も紹介していますので、実家の相続に不安を感じている方やこれから相続に直面する可能性のある方はぜひ最後までお読みください。

実家を相続する際の活用方法

実家を相続する際の活用方法には、大きく分けて「持ち続ける」「手放す」の2つの選択肢があります。それぞれの選択肢にはメリットとデメリットがあるため、相続人の状況や実家の条件によって最適な方法を選びましょう。

ここでは、実家を持ち続ける場合と手放す場合の具体的な活用方法について紹介します。

実家を持ち続ける際の活用方法

実家を相続した後も持ち続ける場合、以下の活用方法があります。

自分や家族が住む

実家を相続した後、もっとも一般的な活用方法は自分や家族が住むことです。新たに住居を購入する必要がないため経済的な負担が軽減されるほか、慣れ親しんだ環境で生活できるため精神的な安定も得られやすいメリットがあります。

ただし実家が遠方にある場合や、仕事の都合で引っ越しが難しい場合もあるでしょう。そのような場合は、週末だけ利用するセカンドハウスとしての活用も考えられます。

賃貸として貸し出す

実家を自分や家族が住む予定がない場合、賃貸として貸し出すことも一つの選択肢です。定期的な収入を得ることができるため、固定資産税などの維持費用を賄うことができます。また空き家にせず人が住むことで、建物の劣化防止にもつながります。

賃貸として貸し出す際は、賃貸管理会社に委託するか自主管理するか検討しましょう。賃貸管理会社に委託すれば手間は少なくなりますが、費用がかかります。一方、自主管理であれば費用は抑えられますが、入居者対応や修繕などの手間がかかります。

建物を解体して更地にし、土地を活用する

実家の建物が老朽化している場合や立地条件が良い場合は、建物を解体して更地にし、土地を活用する方法も考えられます。例えば駐車場として利用したり、新しい建物を建てて賃貸収入を得たりなど、更地にすることで新たな可能性が広がるかもしれません。

ただし建物の解体には費用がかかりますし、更地にすることで固定資産税が上がる可能性もあります。また土地の活用方法によっては新たな投資が必要になることもありますので、長期的な視点で費用対効果を見極め判断することが大切です。

実家を手放す場合の活用方法

実家を持ち続けることが難しい場合や、より良い活用方法がある場合は、実家を手放すことも選択肢の一つです。実家を手放す場合、以下の活用方法があります。

売却する

まず考えられる方法が、実家の売却です。一時的にまとまった資金を得ることができることから、特に実家の維持管理が難しい場合や相続税の支払いに充てる資金が必要な場合に有効でしょう。

売却する際は、まず不動産業者に査定を依頼し、適正な価格を把握します。また売却のタイミングも重要です。相続開始から3年以内に売却すれば「相続した空き家の3,000万円特別控除」を利用できる可能性があります。

関連記事:実家を売却する際の手順|親の生前と相続の後どっちがいい?

関連記事:不動産売却のベストタイミングは?不利な時期や売り時を逃さないコツも解説

相続土地国庫帰属制度で国に返還する

2023427日から施行された「相続土地国庫帰属制度」は、相続や遺贈によって取得した土地を一定の要件のもとで国庫に帰属させることができる制度です。この制度を活用すれば、管理できない土地を手放すことができます。

ただし、この制度を利用するには一定の条件があります。例えば建物がある土地や担保権が設定されている土地は対象外です。また申請時に審査手数料、さらに承認後には10年分の土地管理費相当額を納付する必要があります。

土地の状況や将来的な管理コストを考慮し、相続土地国庫帰属制度を利用するかどうかを判断することが大切です。

相続放棄する

相続放棄とは、相続人が相続する権利を放棄することです。相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人ではなかったものとみなされ、相続財産に対する権利も義務も一切なくなります。そのため実家に多額の負債が付随している場合や、維持管理が困難な場合に検討されます。

ただし、相続放棄は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」という期限付きです。また一部の財産だけを対象にすることはできず、すべての相続財産について放棄することになるなど、デメリットも存在します。

関連記事:相続放棄のデメリット5つ|相続放棄した方がいいケース・できないケースも解説

実家を相続する流れ5ステップ

実家の相続は大きく分けて5つのステップで進めることができます。それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。

1. 遺言書の有無を確認する

相続手続きの第一歩は、遺言書の有無を確認することです。遺言書があれば、その内容に従って相続を進めることになります

  • 遺言書が見つかった場合:まずは有効性を確認する。自筆証書遺言の場合は家庭裁判所での検認手続きが必要。公正証書遺言の場合は、公証役場で原本の閲覧や謄本の交付を受けることができる
  • 遺言書がない場合:法定相続人による遺産分割協議を行う

いずれの場合も、次のステップである相続人と相続財産の特定へと進んでいきます。

2. 相続人と相続財産を特定する

次に、相続人と相続財産を特定する作業を行います。相続人の特定には戸籍謄本が必要となり、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を取得して法定相続人を確定させます。

相続財産の特定は、預貯金、不動産、有価証券、生命保険金、借金など、プラスの財産もマイナスの財産もすべて洗い出してください。不動産については、登記簿謄本や固定資産税評価証明書を取得し、正確な情報を把握しましょう。

相続人の特定は相続税の計算や遺産分割の基礎となるため、慎重に行うことが大切です。相続財産の中に実家が含まれる場合は、評価額や今後の活用方法についても検討を始めるとよいでしょう。

3. 遺産分割協議を行う

相続人と相続財産が特定できたら、次は遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは、相続人全員で話し合いを行い、誰がどの財産を相続するかを決める会議です。

遺産分割協議では、法定相続分を基本としつつ各相続人の事情や希望を考慮しながら進めていきます。実家の相続については、誰が住むのか、賃貸に出すのか、売却するのかなど、具体的な活用方法も含めて話し合うことが大切です。

協議がまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」として文書化します。こ遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印の押印が必要となります。相続登記や相続税の申告の際に必要となる重要な書類ですので、大切に保管しておきましょう。

4. 相続登記を行う

遺産分割協議が終了したら、不動産の相続登記を行います。相続登記とは、亡くなった方の名義になっている不動産を、相続人の名義に変更する手続きのことです。

相続登記の申請には遺産分割協議書のほか、戸籍謄本、住民票、印鑑証明書などの書類が必要となります。手続きは法務局で行いますが、専門的な知識が必要なため司法書士に依頼することをおすすめします。

なお2024年4月1日からは、相続登記の申請が義務化されました。相続開始を知った日から3年以内に申請を行わなければならず、違反した場合は過料が科される可能性がありますので早めの登記を心がけましょう。

関連記事:相続登記の義務化とは?2024年4月以降の罰則や手続きについて解説

5. 相続税の申告と納付を行う

最後のステップは、相続税の申告と納付です。相続税は相続財産の合計額が基礎控除額を超える場合に発生します。基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算されます。

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。申告書の作成には相続財産の評価額や各種控除の計算など専門的な知識が必要となるため、税理士への依頼も検討しましょう。

なお実家の相続においては「小規模宅地等の特例」「相続した空き家の3,000万円特別控除」などを受けられる可能性も。税負担を軽減できる可能性がありますので、こちらも合わせて確認しておきましょう。

実家の相続で起こりやすいトラブルと解決策

実家の相続は、様々なトラブルや問題が発生する可能性があります。ここでは、よくあるトラブルとその解決策について解説します。

兄弟姉妹間で相続トラブルが起きる

実家の相続でもっとも多いトラブルは、兄弟姉妹間での意見の対立です。特に実家以外の相続財産がない場合や、実家に対する思い入れが強い場合に問題が起きやすくなります。

例えば「長男が実家を相続すべき」という考えと「公平に分割すべき」という考えが対立したり、実家を売却したい相続人と住み続けたい相続人の間で意見が分かれたりと、様々な場面でトラブルが発生する可能性があります。

このようなトラブルを回避するためには、以下の対策が有効です。

  • 親の生前から家族で話し合いの機会を持つ
  • 遺言書の作成を検討する
  • 第三者の専門家(弁護士や司法書士)に相談する

特に遺言書の作成は効果的です。被相続人の意思が明確に示されていれば、相続人間のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

予想以上の相続税額を負担することになる

実家を相続する際、相続税の負担が予想以上に大きくなることがあります。特に都市部の土地価格が高い地域では、相続税の基礎控除額を超えてしまう可能性も。

相続税の計算は複雑で、土地や建物の評価額、その他の相続財産、債務などを考慮して算出されます。そのため事前に正確な試算をしていないと、思わぬ高額の相続税を負担することになりかねません。

この問題を回避するためには、以下の対策が効果的です。

  • 事前に相続税の試算を行う
  • 小規模宅地等の特例などの各種特例を活用する
  • 生前贈与を利用して相続財産を減らす

特に小規模宅地等の特例は、居住用の土地の評価額を最大80%減額できる制度です。この特例を適用することで、相続税の負担を大幅に軽減できる可能性があります。

また税理士などの専門家に相談し、適切な節税対策を講じることも有効な策です。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

実家が空き家になり管理が行き届かない

相続人全員が実家から離れて暮らしている場合、実家が空き家となり、適切な管理が行き届かなくなることがあります。空き家の放置は建物の劣化や防犯上の問題、近隣トラブルなど、様々な問題を引き起こす可能性があるため、可能な限り避けたいところ。

また2015年に空家等対策特別措置法が施行され、管理不全の空き家に対して行政が指導や勧告を行うことができるようになりました。つまり最悪の場合、強制的に解体されてしまう可能性もあるということです。

空き家問題を解決するためには、以下の対策が考えられます。

  • 定期的な見回りと清掃を行う
  • 空き家管理サービスを利用する
  • 賃貸や売却など、活用方法を検討する

空き家は放置せずに活用することが重要です。売却が難しい場合は、NPO法人などに寄付することも一つの選択肢となります。

相続登記を後回しにしてしまう

相続が発生しても、すぐに相続登記を行わない方が多くいらっしゃいます。しかし202441日から相続登記の申請が義務化されたことにより、正当な理由がなく申請を怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。

また相続登記を行っていない状態では、相続人の一人が亡くなった場合に相続関係がより複雑になり、手続きに時間と費用がかかるリスクも。さらに不動産の売却や活用を検討する際にも、相続登記が済んでいないと手続きがスムーズに進まない可能性があります。

相続登記の問題を避けるためには、以下の対策が効果的です:

  • 相続発生後、速やかに相続登記の手続きを行う
  • 専門家(司法書士など)に依頼して確実に手続きを進める
  • 相続登記の義務化に関する最新情報を確認する

相続登記は複雑な手続きですが、専門家に依頼することで確実かつスムーズに進めることができます。費用はかかりますが、将来的なトラブルを防ぐためにも早めの対応をおすすめします。

予想外の借金が発覚し、相続するか悩んでしまう

実家の相続を検討する際、予想外の借金が発覚することがあります。相続ではプラスの財産(不動産や預貯金など)だけでなく、マイナスの財産(借金や債務)も引き継ぐことになるため、借金が資産を上回る場合、相続を受けることでかえって負担が増えてしまう可能性があるからです。

このような状況に直面した場合、以下の対応が考えられます:

  • 相続放棄を検討する
  • 限定承認を行う
  • 債務の詳細を調査し、返済計画を立てる

相続放棄は、相続の権利を完全に放棄する方法です。一方、限定承認は相続財産の範囲内でのみ債務を返済する方法です。いずれの場合も相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きを行う必要があります

関連記事:相続放棄のデメリット5つ|相続放棄した方がいいケース・できないケースも解説

このような複雑な状況では、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、最適な対応方法を検討することが大切です。

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実家の相続は、多くの方にとって人生で初めての経験です。本記事で解説した5つのステップを踏み、相続手続きをスムーズに進めていきましょう。

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