不動産査定の方法は?査定の種類や計算式についても
不動産を売却する際には、まず不動産の価値を知る必要があります。そのために行うのが不動産査定です。
不動産査定とは、不動産会社や不動産鑑定士などの専門家が、不動産の特徴や市場動向などを考慮して、不動産の売却予想価格を算出することです。
不動産査定には、いくつかの方法があります。それぞれにメリットや注意点がありますので、自分の不動産の状況や売却の目的に合わせて選ぶことが大切です。
この記事では不動産査定の方法の種類や特徴、査定額の計算方法などについて詳しく解説します。自分の不動産を査定しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
不動産査定の3つの方法とは?
不動産査定の方法は大きく分けて3つあります。それぞれに以下のような特徴があります。
- 一括査定:複数の不動産会社に一度に査定依頼をする方法。査定価格の比較や交渉がしやすい
- 机上査定:物件の情報をもとに机上で査定する方法。査定が早くて簡単。主に不動産会社が行う
- 訪問査定:不動産会社が物件を実際に見て査定する方法。査定が時間や手間がかかるが、精度は高い
なおいずれの場合も査定の費用は、不動産が行う売却前提の査定に限り無料のことが多い傾向があります。
関連記事:不動産査定の費用は?無料と有料の違いや相場についても
1. 一括査定とは?
一括査定とはインターネット上の一括査定サイトを利用して、複数の不動産会社に一度に査定依頼をする方法です。一括査定サイトには登録されている不動産会社の情報や評判、査定実績などが掲載されており、自分の物件に合った不動産会社を選ぶことができます。
一括査定サイトに物件の情報を入力すると、サイトに登録されている複数の不動産会社から査定価格や営業提案などが送られてきます。一括査定のメリットは、以下のとおりです。
- 査定価格の比較がしやすい:複数の不動産会社から査定価格を知ることができるので、相場感や価格差が把握しやすい
- 交渉がしやすい:複数の不動産会社から査定価格を知ることで、査定価格の根拠や査定方法について問い合わせ交渉を行いやすい
- 時間や手間が節約できる:一括査定サイトに物件の情報を入力するだけで複数の不動産会社に査定依頼をすることができるので、時間や手間が節約できる
一括査定の流れ
一括査定の流れは、以下の通りです。
- 一括査定サイトにアクセスする
- 物件の情報を入力する
- 査定依頼をする
- 不動産会社から査定価格や営業提案などが送られてくる
- 査定価格や営業提案などを比較・検討する
- 売却を依頼する不動産会社を決める
- 不動産会社と契約する
一括査定の注意点
一括査定の際は 「査定価格はあくまで目安である」点に注意しましょう。
一括査定で知ることができる査定価格は、不動産会社が物件の情報をもとに机上で算出したものであり、実際に物件を見ていない場合がほとんどです。そのため査定価格はあくまで目安であり、実際の売却価格とは異なる場合があります。
査定価格が高いことだけを理由に、その不動産会社に売却を依頼するのは早計です。査定価格の根拠や査定方法、売却の条件やサービスの内容などを確認し、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
また営業電話やメールが多くなる点も覚えておく必要があります。
2. 机上査定とは?
机上査定とは、不動産会社が物件の情報をもとに机上で査定する方法です。物件の情報とは、その不動産が指定する物件の種類や所在地、面積、築年数、間取り、設備などの基本的な項目が当たります。
机上査定のメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 査定が早くて簡単である:物件の情報を入力するだけで不動産会社が査定価格を算出してくれるので、査定が早くて簡単。査定依頼から査定結果の連絡まで数分から数時間で済む
- 査定が無料である:不動産会社が物件の情報をもとに査定するだけなので、査定に費用がかからない
机上査定の流れ
机上査定の流れは、以下のようになります。
- 不動産会社に査定依頼をする
- 物件の情報を入力する
- 不動産会社が査定価格を算出する
- 不動産会社から査定価格を連絡される
机上査定の注意点
机上査定も一括査定と同様に「あくまで参考価格である」点に注意しましょう。 査定を複数取った上で、査定価格だけでなくセールスマンの印象や条件などを確認し、訪問査定を依頼するための前段階として考えておく必要があります。
3. 訪問査定とは?
訪問査定とは不動産会社が物件を実際に見て査定する方法です。不動産会社の担当者が物件の内外の状態や周辺環境などを詳細に調査し、物件の特徴や魅力を把握して査定価格を算出します。訪問査定のメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 査定精度が高い:物件の情報だけでなく実際の物件の状態や周辺環境などを加味して評価を行うため、机上査定と比べ査定精度が高い傾向がある
- 物件の魅力をアピールできる:物件の内外の状態や周辺環境などを詳細に調査することで、物件の魅力をアピールできる。例えば、物件の内装や設備が新しくて綺麗だったり、日当たりや眺望が良かったり、周辺に公園や商業施設があったりする場合などは、査定価格にプラスの影響を与える可能性がある。また「この場所の良さや便利さ」など、売主の経験に基づく情報も、物件のアピールポイントとなる
訪問査定の流れ
訪問査定の流れは、以下のようになります。
- 不動産会社に査定依頼をする
- 訪問日時を決める
- 物件の情報や書類を準備する
- 不動産会社が物件を訪問して査定する
- 不動産会社から査定価格を連絡される
訪問査定の注意点
訪問査定では実際に物件を見て査定されるので 精度は高いものの、売却価格ではない点は留意しましょう。訪問査定で知ることができる査定価格は、不動産会社が物件の情報や状態、市場動向などを考慮して「概ね3ヶ月程度で売れるだろう」と不動産の売却予想価格を見積もったものです。
しかし査定価格はあくまで目安であり、買い手がつかない、もしくは買主との交渉の中で変化していく場合があります。
なお査定で準備した方がいいものや査定での注意事項については下記の記事で紹介しているので、参考にしましょう。
関連記事:不動産査定では何を準備するべき?注意点や査定額を上げる方法についても
不動産の査定額の計算方法は3種類
不動産の査定額は、不動産会社や不動産鑑定士などの専門家が、不動産の特徴や市場動向などを考慮して、不動産の売却予想価格を算出するものです。不動産の査定額の計算方法には、主に以下の3つがあります。
- 取引事例比較法
- 原価法
- 収益還元法
1. 取引事例比較法について
取引事例比較法とは同じ地域の似たような物件の売買事例を参考にして、査定額を出す方法です。住宅や土地などの一般的な不動産査定でよく使われます。この方法では売却された似ている不動産(同じ地域で面積や築年数が近い物件など)の価格をもとに、事例の不動産と対象の不動産の違いを比較しながら価値を推測します。
市場の動向を直接反映できるのが利点ですが、似た物件のデータが少ない場合は正確な査定が難しいというデメリットもあるので、その場合は他の方法を利用しましょう。
2. 原価法について
原価法は不動産を新しく建てる際のコストをもとに、時間の経過による価値の低下を引いて査定額を出す方法です。主に中古の家の建物部分の査定に使われます。この方法で、建物を再建する際のコスト(再調達価格)をもとにして計算し、経過した年数に応じて価値を減らしていきます。
計算式は「再調達価格 × 延床面積 × 残存年数(耐用年数 - 築年数)÷ 耐用年数」です。再調達価格や耐用年数は、建物の種類や建築年によって違うので、国税庁のホームページで確認できます。
この方法の利点は物理的な価値に基づいた査定ができることですが、再調達できるものでないと精度に上限があるので、向き不向きがある方法ともいえます。
3. 収益還元法について
収益還元法は特に、投資目的の不動産の価値を査定する際に使います。 収益還元法では、不動産から将来得られるであろう収益を今の価値に換算して査定額を出します。
主に使われるのは「直接還元法」と「DCF法(Discounted Cash Flow)」のふたつです。
- 直接還元法:1年間で得られる純収益を利回りで割って計算
- DCF法:将来の収益を時間の価値を考慮して割り引いて、その現在価値を計算
例えば直接還元法で月額80,000円の賃料のワンルームを査定する場合、「毎月の賃料×一期間(一般的に12か月)÷還元利回り」で計算します。還元利回りが良ければ査定額が下がり、悪くても売れる場合は査定額が上がるような考え方です。
なおDCF法は割引率(ディスカウントレート)を選定する必要があり、複数の財務要員を考慮する点で複雑になるので、ここでは割愛します。
収益還元法の利点は、物件の収益性を直接評価できる点ですが、複雑な計算が必要であり、市場の動向によって査定価格が大きく変わることもあります。
不動産査定の計算例
不動産査定の方法は物件の種類によって異なります。ここでは、マンション、土地、戸建ての各ケースにおける具体的な計算例を紹介します。
マンションの場合
マンションの査定では、主に取引事例比較法が用いられます。この方法では、同じ地域や同様の条件の物件の取引事例をもとに、査定対象のマンションの価格を算出します。
具体的な計算例をみていきましょう。
- 基準となる取引事例を選定する
例:同じマンション内の最近の取引事例 4,000万円(70㎡) - 査定対象のマンションとの違いを調整する
・面積の違い:査定対象が75㎡の場合
・階数の違い:事例が5階、査定対象が3階の場合
・方角の違い:事例が南向き、査定対象が東向きの場合 - 各要素に対して補正率を適用する
・面積:75㎡ / 70㎡ = 1.0714(+7.14%)
・階数:3階は5階より評価が低いため -3%
・方角:東向きは南向きより評価が低いため -2% - 補正後の価格を算出する
4,000万円 × 1.0714 × 0.97 × 0.98 ≒ 4,090万円
マンションの場合ではこのように、基準となる取引事例に対して面積や階数、方角などの違いを調整することで、査定額を算出します。実際の査定では、より多くの要素や複数の取引事例を考慮して、より精緻な計算が行われます。
土地の場合
土地の査定は、公示地価をもとに算出する方法が一般的です。公示地価とは、国土交通省が毎年1月1日時点で公表する標準地の価格のことです。この方法を用いた計算例を紹介します。
- 対象地に最も近い標準地の公示地価を確認する
例:最寄りの標準地の公示地価が30万円/㎡ - 標準地と対象地の違いを考慮して、以下の要素で補正を行う
・面積の違い
・形状の違い
・接道状況の違い
・最寄り駅からの距離の違い
・周辺環境の違い
例:補正率を0.95とする(標準地より条件が若干劣る場合) - 時点修正を行う。公示地価は1月1日時点の価格なので、査定時点までの地価変動を考慮する
例:地価が2%上昇している場合、時点修正率は1.02となる - 算出した価格に土地面積を乗じて、概算の土地価格を求める
例:対象地の面積が200㎡の場合
30万円/㎡ × 0.95 × 1.02 × 200㎡ = 5,814万円
この金額が、公示地価をもとにした対象地の概算価格となります。ただし、この方法はあくまで概算であり、実際の取引価格や不動産会社の査定額とは異なる可能性があります。
戸建ての場合
戸建ての建物査定では、主に原価法が用いられます。この方法では、建物の再調達価格から経年劣化による減価を考慮して現在の価値を算出します。
具体的な計算例をみていきましょう。
- 再調達価格を設定する
例:木造2階建ての戸建て住宅の場合、18万円/㎡ - 延床面積を確認する
例:延床面積120㎡ - 耐用年数を設定する
例:木造住宅の一般的な耐用年数 22年 - 築年数を確認する
例:築15年 - 建物評価額を算出する
18万円/㎡ × 120㎡ × (22年 - 15年) ÷ 22年 = 685.7万円
このように、再調達価格、延床面積、残存年数を考慮することで、戸建て住宅の建物評価額を算出します。実際の査定では、以下のような要素も考慮されます。
- 建物のグレード:高級仕様の場合、再調達価格が上がる
- リフォーム履歴:大規模なリフォームを行っている場合、残存年数が延長されることがある
- メンテナンス状態:適切に管理されている建物は、より高く評価されることがある
- 耐震性能:新耐震基準を満たしているかどうかで評価が変わる
不動産査定を受ける前に知っておくべきポイント
不動産査定を受ける際には、いくつか注意すべきポイントがあります。以下で紹介するポイントを押さえておくことで、より適切な不動産取引を行うことができるでしょう。
必ずしも査定価格の通りに売却できるとは限らない
不動産査定を受けると、具体的な金額が提示されます。しかし、この査定価格が必ずしも実際の売却価格と一致するわけではありません。査定価格はあくまで目安であり、実際の売却価格は市場の動向や買主の意向によって変動する可能性があります。
例えば、査定価格が3,000万円と提示された物件が、実際には2,800万円で売却されるケースもあれば、逆に3,200万円で売却されるケースもあります。これは、不動産市場の需給バランスや、個々の買主の事情によって変わってくるためです。
また査定時期と実際の売却時期にずれがある場合、その間の市場変動によって価格が変わることもあります。特に不動産市場は経済情勢や金利の変動、法改正などの影響を受けやすいため、数ヶ月の間に価格が大きく変動することもあります。
したがって、査定価格はあくまで参考値として捉え、実際の売却時には市場の状況や自身の事情を考慮しながら、柔軟に価格交渉を行うことが重要です。また定期的に市場動向をチェックし、必要に応じて再査定を依頼することも検討しましょう。
極端に高い査定価格を提示する会社に注意
不動産査定を依頼する際、複数の会社から大きく異なる査定価格が提示されることがあります。しかし他社よりも極端に高い査定価格を提示する会社に飛びつくのはおすすめできません。このような高額査定には、以下のようなリスクが潜んでいる可能性があるためです。
- 契約を取るためにあえて高い価格を提示し、後から値下げを要求してくる「先行高額査定」の可能性がある
- 極端に高い価格で市場に出した場合、買主がつかず、結果として売却に時間がかかってしまう可能性がある
- 極端な高額査定を行う会社は、他の面でも不適切な対応をする可能性がある
適切な査定を受けるためには、複数の不動産会社に依頼し、それぞれの査定価格とその根拠を比較検討することが重要です。また公的な価格指標(路線価や公示地価など)も参考にしつつ、自身でも物件の特徴や周辺環境をよく把握しておくことが大切です。
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この記事では不動産査定の方法について、種類や計算方法について紹介しました。この記事を参考に、不動産の査定を始めてみましょう。
ただ机上査定や一括査定で不動産を絞って訪問査定に来てもらい、媒介契約を結んでようやく不動産売却スタートとなり、なかなか長いイベントとなります。
関連記事:不動産売却の流れとは?必要な書類や費用・税金、注意点も解説
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