不動産相続

親が亡くなったら行うべき手続き|四十九日までの流れと相続手続きを詳しく解説

親が亡くなったら行うべき手続き|四十九日までの流れと相続手続きを詳しく解説
目次

親が亡くなってから49日までには、様々な手続きを期限内に行わなければなりません。精神的ダメージを抱えるなか、これらの手続きを漏れなく行うためには、まず何をすべきか知ることが大切です。

本記事では、親が亡くなった後の四十九日までの流れと、相続手続きについて詳しく解説します。最後には親が亡くなった後の実家を相続するか売却するかの検討方法についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

【四十九日までの流れ】親が亡くなったらすること一覧

親が亡くなった後は、喪主となる遺族の方々は大変な悲しみのなか、さまざまな手続きに追われることになります。特に四十九日までの期間は、葬儀の準備をはじめ、死亡届の提出や各種手続きなど、やるべきことが山積みです。

ここでは、親が亡くなってから四十九日までに行うべき主な手続きについて、期限ごとに詳しく解説していきます。

期限

手続き

1日目(親が亡くなった当日)

  • 死亡診断書の受け取り
  • 葬儀社の選定・葬儀の打ち合わせ
  • 遺体の搬送
  • 親族や友人への訃報連絡

7日目まで

  • 死亡届の提出
  • 火葬・埋葬許可証の申請
  • お通夜・葬儀

14日目まで

  • 世帯主の変更
  • 年金受給停止手続き
  • 健康保険の資格喪失手続き
  • 介護保険の資格喪失手続き

49日目まで

  • ライフライン等の名義変更・解約
  • クレジットカードの解約
  • 運転免許証、パスポート等の返納

1日目:死亡診断書の受け取り・葬儀の打ち合わせ

親が亡くなった当日は、まず医師による死亡診断書の発行手続きと、葬儀社との打ち合わせが中心となります。この日の対応がその後の葬儀の流れを大きく左右するため、慌てずに確実に進めていくことが大切です。

死亡診断書の受け取り

親御様が亡くなられた際には、まず医師による死亡診断書の発行が必要となります。死亡診断書は、死亡届の提出や火葬・埋葬の許可申請に必須の書類です。

病院で亡くなられた場合は、担当医師が死亡診断書を発行します。在宅で看取られた場合は、かかりつけ医や在宅医に依頼することになります。

死亡診断書は保険金の請求などでも必要となりますので、手続きの際は原本ではなく、必ずコピーを提出することを覚えておきましょう。

葬儀社の選定・葬儀の打ち合わせ

死亡診断書を受け取ったら、次は葬儀社選びと葬儀の打ち合わせを行います。

葬儀社選びの際は、予算や希望するプランに合わせて複数社から見積もりを取るのがおすすめです。打ち合わせでは、お通夜・告別式の日程や会場、お料理、お花などの詳細を決定していきます。

故人を偲び、参列者をもてなすための大切な儀式ですので、ご家族の意向を丁寧にヒアリングしてくれる葬儀社を選ぶようにしましょう。

遺体の搬送

亡くなられた場所から自宅や斎場、火葬場への遺体の搬送は、葬儀社に依頼するのが一般的です。

病院で亡くなられた場合は、エンゼルケアの後、葬儀社の寝台車(霊柩車)で搬送することになります。自宅で亡くなられた場合も、葬儀社に搬送を依頼するのが安心です。

なお自宅での安置が難しい場合には、葬儀社の安置場を利用できます。

親族や友人への訃報連絡

葬儀の日程が決まったら、親族や故人のご友人、関係者の方々に訃報をお伝えします。

一般的には電話連絡が適していますが、人数が多い場合はメールや手紙(死亡通知)で一斉に連絡するのも一つの方法です。連絡の際は、故人のお名前、亡くなった日時、通夜・葬儀の日時・会場、喪主名、連絡先などを簡潔明瞭にお伝えしましょう。

7日目まで:お通夜・葬儀の準備

親が亡くなってから7日目までは、お通夜と葬儀の準備に追われる期間です。加えて死亡届の提出や火葬許可証の申請など、法律で定められた手続きを期限内に済ませる必要があります。

7日目までに行うべきことを、一つずつ順番に確認していきましょう。

死亡届の提出

死亡届は、死後7日以内に市区町村の戸籍係に提出する必要があります。提出は代理人でも行えますので、葬儀社の方に依頼することが一般的です。

届出に必要な書類は、死亡診断書(死体検案書)、亡くなった方の本籍が記載された戸籍謄本、届出人の印鑑(認印)などです。なお死亡日から数えて7日目が役所の閉庁日に当たる場合は、翌開庁日まで提出期限が延長されますので、安心して手続きを行えます。

火葬・埋葬許可証の申請

亡くなった方を火葬や埋葬するには、市区町村長の許可が必要です。火葬・埋葬許可証の申請は、死亡届の提出と同時に行うことができます。こちらも葬儀社の方に代行を依頼することが一般的です。

申請に必要な書類は、死亡診断書(死体検案書)、死亡届の受理証明書、火葬・埋葬を行う場所(火葬場や墓地)の所在地や名称などです。火葬や埋葬の日程は、許可証の発行後に決めるのが一般的ですので、葬儀社と相談のうえ手配を進めましょう。

お通夜・葬儀

お通夜と葬儀は、故人を偲び、参列者と最後のお別れをする大切な儀式です。一般的にお通夜は葬儀の前日に行われ、親しい方を中心に参列していただきます。

葬儀当日は、宗教や地域の慣習に沿って、読経や焼香、弔辞などが行われます。葬儀の規模や形式は、故人の生前のご意向や遺族の方針に基づいて決めるのが良いでしょう。

会場の設営、お料理の手配、参列者への案内など、葬儀社の担当者と綿密に打ち合わせを行い、故人にふさわしいお別れの場となるよう心を尽くしましょう。

14日目まで:世帯主の変更や各種資格の喪失手続き

親が亡くなられてから14日目までには、世帯主の変更や故人が受給していた年金・健康保険・介護保険などの資格喪失手続きを行う必要があります。これらの手続きは役所や年金事務所での手続きが中心となるため、必要書類を事前に確認し、期限内に漏れなく行うことが大切です。

14日目までに必要な手続きを一つずつ確認していきましょう。

世帯主の変更

親が世帯主であった場合、その死亡から14日以内に「世帯主変更届」を亡くなった方の住所地の市区町村役場に提出します

届出用紙は役所の窓口や葬儀社で入手でき、新しい世帯主の情報や亡くなった世帯主の情報を記入します(代理人が届出を行う場合は、委任状の提出も必要となります)。世帯主変更の手続きは、住民票の変更や国民健康保険の切り替えなど他の手続きにも影響するため、できるだけ速やかに行うことをおすすめします。

年金受給停止手続き

亡くなった親が年金を受給していた場合、年金の受給権は死亡日をもって消滅します。年金事務所または街角の年金相談センターに「年金受給者死亡届」を提出し、年金の支給を停止する手続きを行いましょう

手続きには、亡くなった方の年金証書、死亡を証明する書類(住民票の除票など)が必要です。国民年金は死亡日から14日以内、厚生年金は死亡日から10日以内が手続きの期限となっています。

なお故人に未支給の年金がある場合は、遺族の方が「未支給年金請求書」を提出することで、受け取ることができます。

健康保険の資格喪失手続き

親が健康保険の被保険者であった場合、死亡日の翌日に資格を喪失したものとみなされます。

会社員の方であれば、勤務先の担当者が死亡日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を提出します。その際、亡くなった本人と扶養家族全員の保険証を返却します。

国民健康保険の場合は、死亡日の翌日から14日以内に、市区町村の窓口に「国民健康保険関係届」を提出し、資格喪失の手続きを行います。後期高齢者医療制度に加入していた方は、葬儀などの後、速やかに市区町村の後期高齢者医療担当窓口に届け出てください。

介護保険の資格喪失手続き

介護保険の第1号被保険者(65歳以上の方)が亡くなった場合、死亡日の翌日に被保険者資格を喪失します。

遺族の方は、被保険者証を添えて14日以内に、住所地の市区町村窓口に「介護保険資格喪失届」を提出する必要があります。要介護・要支援認定を受けていた方は、介護保険負担割合証や介護保険負担限度額認定証なども一緒に返却します。

保険料については、死亡日の前月分までの計算となり、払い過ぎた分は還付、未納分は納付していただくこととなります。介護保険の資格喪失手続きは、葬儀の準備などで慌ただしい時期ではありますが、期限内に確実に行うよう心がけましょう。

49日目まで:運転免許証の返納や各種サービスの解約

親が亡くなられてから49日目までには、故人名義の運転免許証やマイナンバーカードの返納、ライフラインサービスやクレジットカードの解約・名義変更など、様々な手続きを進める必要があります。

必要な手続きについて、順に確認していきましょう。

ライフライン等の名義変更・解約

故人が契約していた電気、ガス、水道、電話、インターネットなどのライフラインサービスについては、死亡後速やかに名義変更や解約の手続きを行います。

手続きの方法は各サービス提供会社によって異なりますので、まずは問い合わせ窓口に連絡を取り、必要書類や手続き方法を確認しましょう。一般的には、死亡診断書や除籍謄本などの死亡を証明する書類、遺族の方の身分証明書が必要となります。

またサービスの解約時には、故人名義の口座から引き落とし済みの料金の精算や、未払い料金の支払いが発生する場合がありますので、口座の残高確認も忘れずに行ってください。

クレジットカードの解約

故人名義のクレジットカードは、死亡後速やかに解約手続きを行う必要があります。

カード会社に連絡を取り、解約手続きに必要な書類を確認します。一般的には、死亡を証明する書類(死亡診断書や除籍謄本など)、カード本体、遺族の方の身分証明書が必要です。

カードの解約時には、死亡日以降に発生したカード利用代金の支払いが求められる場合がありますので、利用明細の確認を怠らないようにしましょう。またカードの解約と合わせて、カード盗難保険などの付帯サービスの解約手続きも行ってください。

運転免許証、パスポート等の返納

故人が運転免許証を所持していた場合、死亡後は遺族の方が警察署や運転免許センターに返納手続きを行います。返納の法的義務はありませんが、悪用防止のため、できるだけ早めの返納が望ましいとされています。返納時には、故人の免許証、死亡を証明する書類(死亡診断書や除籍謄本など)、届出人の本人確認書類が必要です。

また故人がパスポートを所持していた場合も、警察署や旅券事務所への返納が必要です。パスポートの返納は法律で義務付けられており、亡くなった日から1年以内に手続きを行わなければなりません。返納の際は、故人のパスポート、死亡を証明する書類、届出人の本人確認書類を持参します。

相続手続きは親が亡くなったら早めに取りかかろう

親が亡くなられた後の相続手続きには、期限が定められているものが多くあります。期限を過ぎてしまうと、権利を失ったり、ペナルティが課されたりする可能性がありますので、できるだけ早めに手続きに取りかかることが大切です。

ここでは、主な相続手続きの期限について詳しく解説します。

相続放棄や限定承認(3カ月以内)

親が亡くなった後、相続人には相続財産を受け取るか否かを選択する権利があります。相続放棄とは、相続財産の受け取りを全て辞退すること。限定承認は相続財産の範囲内で債務を返済する方法です。これらの選択は、被相続人の債務が資産を上回る場合に検討されます。

相続放棄や限定承認の申述は、相続開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。この期間を過ぎると原則として相続を単純承認したものとみなされるため、慎重に検討しましょう。

被相続人の準確定申告(4カ月以内)

親が亡くなった場合、その年の1月1日から死亡日までの所得について、準確定申告を行う必要があります。これは通常の確定申告と同様の手続きですが、申告期限が異なります。

準確定申告の期限は、親が亡くなった日の翌日から4カ月以内です。申告が必要な所得には、給与所得、事業所得、不動産所得などが含まれます。また、医療費控除や寄付金控除なども適用可能です。期限内に申告を行わないと加算税が課される可能性がありますので、注意しましょう。

相続税申告と納税(10カ月以内)

相続税の申告と納税は、親が亡くなった日の翌日から10カ月以内に行う必要があります。相続税は、相続財産の総額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いた金額に対して課税されます。

申告にあたっては、不動産や預貯金、有価証券などの財産を正確に評価する必要があります。また配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など様々な特例措置も存在しますので、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺留分侵害額の請求(1年以内)

遺留分とは、一定の相続人に保障された最低限の相続分のことです。遺言や生前贈与によって遺留分が侵害された場合、遺留分侵害額請求権を行使できます。この請求権は、相続の開始および遺留分を侵害している事実を知った時から1年以内に行使する必要があります

遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人の場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は2分の1です。請求方法は、遺留分を侵害している受遺者や受贈者に対して金銭での支払いを求めることになります。家族間の関係に影響を与える可能性もあるので、慎重に検討しましょう。

相続登記(3年以内)

不動産を相続した場合、相続登記を行う必要があります。2024年4月1日以降に開始した相続については、相続開始を知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務付けられています。この義務を怠ると過料が科される可能性があるので、注意が必要です。

相続登記の手続きには、戸籍謄本や遺産分割協議書などの書類が必要になります。また共同相続人がいる場合は、遺産分割協議を経て相続人全員の合意を得る必要があります。手続きが複雑な場合もあるので、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

関連記事:相続登記の義務化とは?2024年4月以降の罰則や手続きについて解説

生命保険の受け取り(3年以内)

親が生命保険に加入していた場合、保険金の請求手続きを行う必要があります。生命保険金の請求権は、支払事由が発生したことを知った日から3年間で時効となります。そのため、できるだけ早めに手続きを進めることが大切です。

請求手続きには、保険証券や死亡診断書、戸籍謄本などの書類が必要になります。また保険会社によって必要書類が異なる場合もあるので、事前に確認しましょう。なお生命保険金は原則として相続財産には含まれませんが、相続税の課税対象となる場合があるので注意が必要です。

相続税の還付(申告期限から5年以内)

相続税を納付した後に相続財産の評価額が減少した場合や、新たな債務が発見された場合など、相続税の還付を受けられる可能性があります。還付請求は、相続税の申告期限から5年以内に行う必要があります

還付の対象となる主な事例としては、相続した不動産を売却した際に譲渡所得税を納付した場合や、相続した株式の価格が下落した場合などが挙げられます。還付手続きには、更正の請求書や資料の提出が必要です。税務署による審査を経て還付が認められた場合、過払いとなっていた税金が返還されます。

親が亡くなった後の実家の選択肢

親が亡くなった後の実家については、住み続ける・売却の2つの選択肢があります。どちらを選択するにしてもそれぞれにメリット・デメリットがありますので、これらを良く理解して検討しましょう。

 

メリット

デメリット

実家に住み続ける場合

  • 住居費や管理費を抑えられる
  • 実家を手放さずに残せる
  • 小規模宅地等の特例で相続税の節税が可能
  •  一緒に生活することで家族で助け合える
  • 固定資産税が発生する
  • 古い家の場合、修繕やリフォームが必要
  •  相続税の納税資金が不足するケースがある

実家を売却する場合

  • 売却資金を他の目的に活用できる
  • 相続トラブルを防止できる
  •  空き家の管理の手間がなくなる
  •  譲渡所得の3,000万円特別控除が使える可能性がある
  •  実家を手放すことになる
  • 売却までに時間がかかる場合がある
  •  売却費用(仲介手数料や印紙税など)がかかる
  •  売却益に対して譲渡所得税がかかる

実家の相続か売却かを決める際は、以下の点を考慮することをおすすめします。

  • 相続人全員の意向
  • 実家の立地や建物の状態、市場価値
  • 相続税の納税資金の有無
  • 将来の活用計画

最終的な決断は、家族間でよく話し合い、専門家のアドバイスも参考にしながら進めていくことが大切です。相続か売却か、どちらを選択するにしても、故人の想いを大切にしつつ、相続人全員が納得できる結論を出すことが望ましいでしょう。

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監修者
不動産買取応援隊 編集部

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