親の家を売るにはどうすればいい?ケース別の売却方法と税金について解説

親の家を売るにはどうすればいい?ケース別の売却方法と税金について解説
目次

親の家を売却しようと考えているけれど、何から始めたらいいのかわからない。そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、親の状況に応じた家の売却方法と、発生する税金について詳しく解説します。親の家の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

親の家を売る方法は2

親の家を売却する方法は、親の状況によって2つに分かれます。1つは親が健在で判断能力がある場合、もう1つは親の判断能力がない場合です。

親が健在で判断能力がある場合は、親自身の意思で不動産売買の契約を結ぶことができます(実際の売却手続きを子供が代行することも可能)。一方、親の判断能力がない場合には、成年後見制度を使って契約を進めることになります

ここでいう親の判断能力がない場合とは、具体的には以下のようなケースが考えられます。

  • 認知症が進行し、物事を理解したり判断したりする能力が著しく低下している
  • 脳梗塞などの病気により、意思疎通が困難な状態である
  • 精神障害や知的障害により、契約の内容を理解できない

親の家を売る場合、親の状況を把握し、適切に売却を進めていくことが大切です。

親の家を売る方法(親が健在な場合)

親が健在で判断能力がある場合、親の家を売却するためには以下の手順を踏むこととなります。親の意思を尊重しながら、適切な手続きを進めていきましょう。

1. 親の意思を確認する

親の家を売却する際にもっとも大切なのは、親自身の意思を確認することです。売却の理由や目的、今後の生活設計などについて、親と十分に話し合いましょう。親が売却に同意していることを確認し、その意思を尊重することが大切です。

また売却に伴う諸手続きや税金についても説明し、理解を得ておくことも必要です。親の意向を踏まえたうえで、売却の方針を決定していきましょう。

2. 委任状を作成する

親が売却に同意したら、次は委任状を作成します委任状とは、親から子どもに売却の権限を委ねる書面のことです。これにより子どもが親に代わって売却手続きを進められるようになります。

委任状には、売却する物件の情報、売却価格の決定方法、媒介契約の締結、売買契約の締結など、売却に関する権限の範囲を明記します。また委任状の有効期限や解約条件なども記載しておきましょう。

不動産会社によっては、委任状のひな形を用意していることがあります。必要事項を漏れなく記入し、親子双方が内容を確認のうえ、署名・捺印します。

3. 本人確認書類を用意する

売却手続きを進めるうえで、親と子どもの本人確認書類が必要になります。これは、委任状の信頼性を担保するためです。

親の本人確認書類としては、運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどの公的証明書が該当します。子どもについても、同様の書類を用意します。

また親子関係を証明する書類として、戸籍謄本や住民票なども必要になる場合があります。不動産会社の指示に従って必要書類を揃えておきましょう。

4. 売却方法を検討する

親の家を売却する際には、大きく分けて2つの方法があります。1つは不動産会社に仲介を依頼する方法、もう1つは不動産会社に買い取ってもらう方法です。

仲介の場合、不動産会社が売主(親)と買主の間に入り、売買契約の成立を目指します。仲介手数料(売却価格の35%程度)がかかりますが、専門家による適切な価格設定や広告戦略、買主とのスムーズな交渉が期待できます。

一方、買取の場合は不動産会社が直接物件を購入します。手数料はかかりませんが、一般的に媒介よりも売却価格が低くなる傾向にあります。

物件の状態や売却の希望時期、手数料の負担力などを考慮して、適切な売却方法を選択しましょう。複数の不動産会社に査定を依頼し、提示条件を比較検討することをおすすめします。

関連記事:不動産買取とは?仲介との7つの違いやメリット・デメリットを解説

5. 媒介契約を結び、売却活動・買主との交渉を行う

売却方法が決まったら、選んだ不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には、専任媒介契約と一般媒介契約の2種類があります。

専任媒介契約の場合、一定期間、当該不動産会社に売却活動を任せることになります。その間は他の不動産会社に依頼することはできません。一方、一般媒介契約の場合は、複数の不動産会社に同時に依頼することが可能です。

媒介契約を結んだ後は、不動産会社が売却活動を開始し、買主候補が見つかった場合は売却価格や引渡し時期などの条件交渉を行います。交渉の結果、条件が合致すれば売買契約の締結に進みます。

6. 売買契約の締結後、決済・引渡しを行う

売買契約が成立したら、いよいよ決済・引渡しの段階です。決済とは、売買代金の授受と所有権の移転を行うことを指します。

まず、買主が売買代金を指定口座に振り込みます。売主(親)は、住宅ローンの残債がある場合、売却代金から残債を返済します。

次に、不動産の所有権移転登記を行います。登記簿上の所有者が買主に変更されることで、法的に所有権が移転します。

最後に、物件の引渡しを行います。売主は物件を明け渡し、買主に鍵を引き渡します。これにて一連の売却手続きは完了です。

7. 譲渡所得税の申告・納税を行う

親の家を売却した場合、売却益に対して譲渡所得税が課税されます。譲渡所得税は、売却価格から取得費(購入価格+購入時の諸費用)と譲渡費用(仲介手数料、補修費用など)を差し引いた金額に対してかかります。

譲渡所得税の申告は、売却した年の翌年216日から315日までに行いましょう。税金の計算方法は複雑なため、早めに専門家に相談することをおすすめします。

親の家を売る方法(親の判断能力がない場合)

親が認知症などで判断能力が低下している場合、家の売却手続きはより複雑になります。以下では、親の判断能力がない場合の家の売却方法について解説します。

1. 成年後見制度の利用を検討する

親の判断能力が低下している場合、まずは成年後見制度の利用を検討しましょう成年後見制度とは、判断能力が不十分な人の財産管理や契約などを支援する制度です。

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。

  • 法定後見制度:家庭裁判所に申立てを行い、審判を受けることで利用できる
  • 任意後見制度:事前に本人が任意後見契約を結んでおくことで、判断能力が低下した際に任意後見人が支援にあたる

成年後見人は、本人に代わって不動産の売却手続きを行うことができます。ただし売却には家庭裁判所の許可が必要であり、成年後見人は売却の必要性や売却価格の妥当性などを説明し、許可を得る必要があります。

成年後見制度の利用には一定の費用がかかりますが、親の財産を適切に管理・処分するために有効な手段です。まずは、家庭裁判所や専門家に相談し、利用の是非を検討しましょう。

2. 不動産会社に売却を依頼する

成年後見人が選任されたら、親が健在な場合と同様に、不動産会社に売却を依頼します。ただし成年後見人が単独で売却手続きを進めることは難しいため、以下の点に注意が必要です。

  • 複数の不動産会社に査定を依頼し、売却価格や手数料などの条件を比較検討したうえで、信頼できる不動産会社を選定する
  • 不動産会社との媒介契約の締結には、家庭裁判所の許可が必要
  • 売却価格についても、家庭裁判所の許可が必要

成年後見人は不動産会社との連携を密にし、適切な手続きを踏むことが求められます。

3. 売却活動~引き渡し、確定申告を行う

不動産会社との媒介契約が成立したら、売却活動を開始します。ただし親が健在な場合と異なり、以下の点に留意が必要です。

  • 買主候補が見つかった場合、成年後見人が売却価格や引渡し時期などの条件交渉を行うが、最終的な売却価格については、家庭裁判所の許可が必要
  • 売買契約が成立したら、決済・引渡しの手続きは成年後見人が行う
  • 決済・引渡しが完了したら、成年後見人は家庭裁判所に報告を行い、売却代金の使途や管理方法について、家庭裁判所の指示に従う
  • 譲渡所得税の確定申告は、成年後見人が親に代わって行う

親の判断能力がない場合の家の売却は、成年後見制度の利用が不可欠であり、成年後見人は家庭裁判所の監督の下、適切な手続きを踏む必要があります。専門家の助言を得ながら、慎重に進めることが重要です。

親の家を売るときに発生する税金

親の家を売却する際には、さまざまな税金が発生します。売却のタイミングによって、かかる税金の種類や金額が異なりますので、注意が必要です。

ここでは、売却時、売却後、名義変更時に発生する主な税金について解説します。

売却時にかかる税金:印紙税

親の家を売却する際に、まず発生する税金が印紙税です。印紙税とは、不動産売買契約書に貼付する収入印紙のことを指します。

印紙税の額は、売買契約書に記載された金額に応じて決まります。例えば売却価格が1,000万円超5,000万円以下の場合、印紙税は1万円です。

印紙税は、売主と買主が折半して負担するのが一般的です。印紙を貼付し、契約書に割印を押すことで、納税の手続きは完了します。

売却後にかかる税金:譲渡所得税

親の家を売却した後、もし売却益が発生していれば、譲渡所得税の課税対象となります。譲渡所得税とは不動産売却による所得に対してかかる税金の総称で、所得税と住民税から成ります。

譲渡所得税の税率は、所有期間や売却価格によって異なります。例えば売却した家を5年以上所有していた場合は、長期譲渡所得として、所得税15%、住民税5%の税率が適用されます。

一方、売却益が出なかった場合や、売却損が出た場合は譲渡所得税はかかりません。ただし売却価格が高額な場合は、たとえ売却益が出なくても譲渡所得税の申告が必要なケースがあります。

譲渡所得税の計算は複雑ですので、不動産会社や税理士に相談しながら進めることをおすすめします。また3,000万円の特別控除など、適用可能な特例を活用することで、税負担を軽減できる場合があります。

名義変更時にかかる税金:登録免許税

親の家を売却し、新しい所有者に名義変更する際には、登録免許税がかかります。登録免許税とは不動産登記の際に課される税金で、不動産の価値に応じて金額が決まります。

具体的には、土地の場合、固定資産税評価額の0.4%が登録免許税です。建物の場合は、固定資産税評価額の2%が登録免許税となります。

登録免許税は、買主が負担するのが原則です。ただし、売主と買主の間で負担割合を取り決めることも可能です。

名義変更の手続きは、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士報酬は別途必要となりますが、専門家に任せることで、スムーズに手続きを進められるでしょう。

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監修者
不動産買取応援隊 編集部

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