財産分与

離婚時に不動産を財産分与する方法と流れ|注意点についても解説

離婚時に不動産を財産分与する方法と流れ|注意点についても解説
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離婚を考えている方のなかには「結婚生活で築いた不動産をどのように分ければいいのだろう?」と悩む方も少なくありません。そこでこの記事では、離婚に伴う不動産の財産分与について、さまざまなケースを想定して解説します。

財産分与の流れについても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

離婚に伴う財産分与とは

はじめに、離婚に伴う財産分与についての基礎知識を簡単に解説します。

財産分与の種類は3つ

離婚に伴う財産分与には、おもに3つの種類があります。

  • 清算的財産分与:婚姻期間中に形成された夫婦の共有財産を離婚時に公平に分配する方法
  • 扶養的財産分与:離婚後の生活が困難になる側の配偶者に対して、生活を支えるための財産を分与する方法
  • 慰謝料的財産分与:離婚の原因を作った配偶者から、相手方への慰謝の意味を込めて財産を分与する方法

一般的に財産分与とは「清算的財産分与」を連想することが多いです。財産分与の種類によって分与される財産の性質や分与の割合が異なるため、夫婦の状況に応じて適切な財産分与の方法を選択しましょう。

財産分与の対象にならないもの

財産分与の対象となるのは、原則として婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産です。しかし、以下のようなものは財産分与の対象外となります。

  • 婚姻前から所有していた財産:結婚する前から個人的に所有していた不動産や預貯金、株式などは、原則として財産分与の対象外
  • 相続や贈与で取得した財産:婚姻中に相続や贈与によって取得した財産は個人の特有財産として扱われ、財産分与の対象外となる
  • 一方の配偶者が単独で取得した財産:婚姻中であっても、夫婦の協力関係なく一方の配偶者が単独で取得した財産は原則として財産分与の対象にはならない

財産分与の割合は50%が基本

財産分与の割合は、原則として夫婦の共有財産を50%ずつ分ける「半分ずつの分与」が基本とされています。これは民法768条が「夫婦の共同生活に対する貢献度は夫婦同等と評価すべき」という考え方に基づいているためです。

つまり専業主婦であったとしても、夫婦の共有財産の半分を受け取る権利があるのです。ただし財産分与の割合は夫婦で話し合って決定することもできます。

離婚時に不動産を財産分与する方法

ここからは、離婚時に不動産を財産分与する方法を、①住宅ローンがない場合 ②住宅ローンがある場合 の2パターンで解説します。

住宅ローンがない場合の財産分与

離婚時に不動産を財産分与する際、住宅ローンがない場合は、以下の2つの方法が主に選択されます。

1. 不動産を売却し、利益を分割する

離婚後、両者とも不動産を手放す場合は、不動産を売却して得られた利益を夫婦で分割するのが一般的です。不動産を売却し、売却価格から売却費用を差し引いた金額を夫婦で分割します。

不動産売却にあたっては、不動産仲介・不動産買取のいずれかを選択します。それぞれの特徴や売却の流れについては下記の記事でご確認ください。

関連記事:不動産売却の流れとは?必要な書類や費用・税金、注意点も解説

2. 一方が不動産を維持し、片方に現金を支払う

続いて考えられるのが、一方が不動産を維持し、片方に現金を支払う方法です。この方法は、離婚後どちらかが不動産に住み続ける場合に選択されます。売却を行うわけではないので、不動産の価値は時価を用いることとなり、価格は不動産鑑定士による査定や近隣の取引事例を参考にして決定することになります。

住宅ローンがある場合の財産分与

離婚時に不動産を財産分与する際、住宅ローンが残っている場合はローンの残債と不動産の価値を考慮して分与を行います。以下4つのシチュエーションにおける財産分与について見ていきましょう。

1. 売却代金でローンを返済し、残金を分配する

まずは不動産の売却代金がローンの残債よりも多い状態(=アンダーローン)での財産分与について解説します。この場合、まず不動産を売却し、売却代金でローンを完済。残った金額を夫婦で分配する形となります。

たとえば不動産の売却代金が3,000万円、ローンの残債が2,000万円の場合、ローンを完済した後の1,000万円を夫婦で分配することになります。

オーバー部分を共有資産から支払ったうえで分配する

続いて、不動産の売却代金がローンの残債よりも少ない状態(=オーバーローン)における財産分与について見ていきましょう。この場合、まず不動産を売却し、売却代金をローンの返済に充てます。そして、残ったローン債務(オーバー部分)を夫婦の共有資産から支払います

たとえば不動産の売却代金が2,000万円、ローンの残債が3,000万円の場合、売却代金をローンの返済に充てたあと、残った1,000万円のローン債務を夫婦の共有資産から支払います。そのうえで、残った共有資産を夫婦で分配します。

一方が不動産を維持し、ローンの返済を続ける

続いて、不動産の売却を行わず、どちらかが不動産を維持し続ける場合の財産分与を解説します。この場合、住み続ける人が住宅ローンの債務者であればとくに問題はありません。

ただし債務者と実際に住んでいる人が異なる場合(住んでいない人が住宅ローンを返済していく場合)、万が一住宅ローンの返済が滞った場合に住宅が競売に掛けられるリスクがあります。ローンの債務者を変更する方法もありますが、その際は新たに審査を受ける必要があります。

また夫婦共同で住宅ローンを借りている場合(ペアローンや連帯債務)、住宅ローンを利用している金融機関に相談して単独債務に変更してもらう方法が考えられますが、金融期間によっては対応してもらえないことも。その場合は借り換えと同時に債務者を変更することになります。

離婚時に不動産を財産分与する流れ

ここからは、離婚時に不動産を財産分与する流れについて5ステップで解説します。

1. 不動産の名義と住宅ローンの残債を確認する

まずは対象となる不動産の名義と住宅ローンの残債を確認します。不動産の登記簿謄本から所有者や取得時期、購入価格などの情報を確認しましょう。また住宅ローンの契約書から、ローンの債務者や残債、返済状況などを確認します。

2. 不動産の評価額(時価)を算定する

次は不動産の現在の評価額、つまり時価を算定するステップです。評価額は不動産鑑定士による査定や、近隣の取引事例を参考にして決定します。不動産会社に依頼する際は複数社に見積もりを出してもらうことで、適正な価格を知ることができます。

評価額は、財産分与の際の分配割合を決めるうえで重要な要素です。また住宅ローンがある場合は、評価額からローン残債を差し引いた金額が実質的な不動産の価値となります。

3. 財産分与の方法を話し合う

不動産の名義、ローンの状況、評価額が分かれば、具体的な財産分与の方法を決めます。どちらかが家に住み続けるのか、また売却を希望するのかなど、状況に応じて話し合いを進めましょう。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の調停を活用することもできます。

4. 財産分与契約書や公正証書を作成する

財産分与の方法が決まれば、次は契約書や公正証書を作成するステップです。財産分与契約書には分与する不動産の詳細や分配割合、引渡し時期などを明記します。公正証書を作成すれば強制執行力が生じるため、トラブルを回避する効果があります

契約書や公正証書の内容は、弁護士などの専門家に確認を求めることをおすすめします。重要な法的拘束力のある書面なので、内容を十分に吟味して作成しましょう。

5. 所有権移転登記を行う

最後に不動産の所有権移転登記を行います。売却する場合は売買契約を締結し、一方が取得する場合は財産分与契約書に基づいて登記を行います。

登記が完了すれば、固定資産税や住宅ローンの支払い義務なども新しい所有者に移転します。名義変更に伴う諸手続きを確実に行うことが重要です。

離婚時に不動産を財産分与する注意点

不動産の財産分与は複雑な手続きが伴うため、さまざまな注意点があります。以下の3点に留意して進めていきましょう。

財産分与の請求期間は離婚成立後2年間

財産分与を請求できる期間は、離婚が成立してから2年間です。この2年の期間は除斥期間と呼ばれ、時効とは異なり、中断・延期させることはできません。

つまり離婚から2年を過ぎてしまうと、財産分与の請求権そのものがなくなってしまいます。したがって財産分与をしないまま離婚してしまった場合には、期限内に請求することが何よりも大切になります。

ただし財産分与の対象となる財産の算定基準は、別居前までの財産となります。別居後に形成された財産は夫婦の協力によって形成されたものとはいえないため、財産分与の対象外となります。

譲渡所得税の発生に注意する

不動産を売却して財産分与を行う場合、譲渡所得税が発生する可能性があります。譲渡所得税は、不動産の売却による所得に対して課税されるものです。

譲渡所得税は「譲渡収入金額 – 取得費用 – 譲渡費用」で算出される譲渡所得に対して課税されます。この譲渡所得額に対して一定の税率が適用される仕組みです。したがって不動産を売却して財産分与を行う場合、売却代金から譲渡所得税を差し引いた金額が実質的な分与額となります。

また居住用財産の3,000万円特別控除や、長期保有による軽減税率の適用など、節税対策も検討すると良いでしょう。

不動産が勝手に売却されてしまうケースも

財産分与の際、一方的に不動産を売却されてしまうリスクがあります。離婚協議が難航し、話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の審判で強制的に財産分与が命じられることがあるためです。

このようなリスクを回避するには、財産分与契約書や公正証書を作成し、不動産の処分方法を明確にしておくことが重要です。契約書などに「不動産は売却しない」「一方が取得する」などと明記しておけば、一方的な売却を防ぐことができます。

また離婚前に不動産の名義を単独名義に変更しておくことも一つの対策となります。ただし名義変更には費用がかかるため、メリット・デメリットを検討する必要があります。

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