一戸建て・一軒家を賃貸に出す流れ|メリットや注意点についても解説
一戸建て・一軒家を所有しているけれど、有効活用できていないと感じていませんか?近年、一戸建ての賃貸需要が高まっており、家族向け物件として人気があります。
そこで本記事では、一戸建てを賃貸に出すメリットやデメリット、具体的な流れ、そして注意点について詳しく解説します。賃貸経営に興味はあるけれど、どうすればいいか分からない方は、ぜひ最後までお読みください。
一戸建て・一軒家を賃貸に出すメリット
まずは、一戸建て・一軒家を賃貸に出す4つのメリットについて解説します。これらのメリットを理解することで、賃貸に出すかどうかの判断材料にしていただけるでしょう。
家賃収入を得られる
一戸建て・一軒家を賃貸に出す最大のメリットは、安定した家賃収入を得られることです。特に、住宅ローンの返済が終わっている物件であれば、その収入のほとんどが純利益となります。
家賃の相場は地域や物件の状態によって異なりますが、一般的に一戸建ては集合住宅よりも高額な家賃設定が可能です。例えば都市部近郊の一戸建てであれば、月額10万円以上の家賃収入を見込めるケースもあります。
将来的に再び住むことができる
一戸建て・一軒家を賃貸に出すメリットとして、将来的に再び自分や家族が住む選択肢を残せることも挙げられます。
例えば子育てが一段落した後に実家近くに戻りたいと考えている方や、リタイア後に郊外の一戸建てで暮らしたいと計画している方にとっては、特に魅力的なポイントとなるでしょう。賃貸に出している間も所有権は変わらないため、契約期間が終了すれば自由に使用することができます。
建物の劣化を防げる
一戸建て・一軒家を賃貸に出すことで、建物の劣化を防ぐことができるというメリットも。空き家のままにしておくと建物は急速に劣化していきますが、人が住むことで適切な管理が行われ、建物の状態を良好に保つことができます。
具体的には、定期的な換気や掃除、水回りの使用などにより、カビやシロアリの発生を防ぎ、配管の錆びつきを防止することができます。また入居者が日常的に使用することで小さな不具合にも早めに気づくことができ、大きな損傷に発展する前に対処することが可能となります。
節税効果がある
一戸建て・一軒家を賃貸に出すことで、一定の節税効果を得られることも大きなメリットの一つです。賃貸経営を始めることで、これまで経費として計上できなかったさまざまな費用を必要経費として計上することができるようになります。
下記は、認められる必要経費の一例です。
- 固定資産税
- 火災保険料
- 修繕費
- 管理費
- 減価償却費など
特に減価償却費は実際にお金を支払わなくても計上できる費用であり、大きな節税効果をもたらす可能性があります。
例えば築20年の木造一戸建てを賃貸に出した場合、残存耐用年数は約22年です。仮に建物の価値が1,000万円だとすると年間約45万円の減価償却費を計上することができます。これにより、課税対象となる不動産所得を大幅に減らすことが可能となります。
一戸建て・一軒家を賃貸に出すデメリット
一戸建て・一軒家を賃貸に出すことには、メリットだけでなくデメリットも存在します。ここでは、主な3つのデメリットについて詳しくみていきましょう。
管理の手間がかかる
一戸建て・一軒家を賃貸に出す際の最大のデメリットは、管理の手間がかかることです。
- 入居者の募集
- 賃貸契約の締結
- 家賃の徴収
- 設備の点検
- 修繕の手配
- 定期的な物件点検
- 入居者からの問い合わせ対応
- トラブル対応
- 光熱費の管理
- 更新契約の手続き
- 退去時の立ち会い
- 清掃・メンテナンスの手配
これらの管理業務を自身で行う場合、多大な時間と労力が必要となります。
管理会社に委託する場合でも一定の費用がかかり、完全に手間がなくなるわけではありません。そのため賃貸経営を始める前に、管理にかかる時間と労力、または費用を十分に考慮することが必要です。
需要が限定的である
集合住宅と比較して、一戸建ての賃貸物件は主に家族向けの入居者を対象とすることが多く、需要が限定される傾向にあります。そのため立地や賃料によっては入居者を見つけるのに時間がかかったり、長期間の空室が発生したりする可能性も考慮しておきましょう。
例えば駅から遠い郊外の一戸建ては、車を所有している家族向けの需要が中心となります。一方で都心部や駅近くの一戸建ては高額な家賃設定となる可能性が高く、さらに入居対象が限られます。
空室期間中も固定資産税や管理費などの固定費がかかるため、賃貸経営を始める前に周辺の賃貸市場の状況や需要動向をしっかりと調査することをおすすめします。
大規模な修繕が必要になる場合がある
一戸建て・一軒家を賃貸に出す際、大規模な修繕が必要になる場合があることもデメリットの一つです。集合住宅と異なり、建物全体の維持管理が所有者の責任となるため、高額な修繕費用が発生するリスクがあります。
修繕項目 | 頻度 | 費用目安 |
外壁塗装 | 15〜20年ごと | 100万円 |
屋根塗装 | 15〜20年ごと | 80万円 |
ベランダ防水 | 15〜20年ごと | 30万円 |
シロアリ防除 | 5〜10年ごと | 15万円 |
ユニットバス交換 | 20〜25年ごと | 90万円 |
給排水管交換 | 20〜30年ごと | 65万円 |
キッチン交換 | 20〜25年ごと | 90万円 |
トイレ交換 | 20〜25年ごと | 85万円 |
これらの大規模修繕や設備更新は賃貸収入だけでは賄いきれない場合もあり、追加の資金が必要となります。
一戸建て・一軒家を賃貸に出す流れ
ここでは、賃貸経営を始める際の基本的な流れを5つのステップに分けて詳しく解説します。これらのステップを理解することで、スムーズに賃貸経営を開始することができるでしょう。
1. 賃貸管理会社を選ぶ
賃貸経営を始める最初のステップは、信頼できる賃貸管理会社を選ぶことです。賃貸管理会社は、物件の管理や入居者の対応など、賃貸経営に関するさまざまな業務を代行してくれるパートナーとなります。
選び方のポイントとしては、まず地域の不動産事情に詳しい会社を選ぶことが大切です。地元密着型の管理会社であれば、その地域の賃貸市場の特性や需要動向を熟知しているため、適切なアドバイスを受けられる可能性が高くなります。
その他にも、以下のようなポイントを確認しておきましょう。
- 管理料
- 管理実績
- 口コミ評価
- 緊急時の対応体制
- 定期的な物件点検のサービスの有無
2. 賃貸条件を決める
賃貸管理会社を選んだ後は、具体的な賃貸条件を決定します。主な条件は以下の通りです。
- 賃料
- 契約期間
- 敷金・礼金
- ペットの可否
- 駐車場の有無
- 設備の使用ルールなど
賃貸条件は、物件の収益性と入居率のバランスを取ることが重要です。賃貸管理会社のアドバイスを参考にしつつ、自身の経営方針に合わせて慎重に決定しましょう。
3. 物件の状態に応じてリフォームや修繕を行う
賃貸条件を決定した後は物件の状態を確認し、必要に応じてリフォームや修繕を行います。
この段階で、まずは専門家による物件診断を行うことをおすすめします。建築士や設備の専門家に依頼し、建物の構造や設備の状態を詳細にチェックしてもらいます。この診断結果に基づいて、必要な修繕やリフォームの計画を立てていきましょう。
またリフォームを行う際は、費用対効果を十分に考慮することが大切です。例えばキッチンやバスルームの設備を新しくすることで賃料を上げられる可能性がありますが、過度に豪華な設備は必ずしも賃料に反映されるとは限りません。賃貸管理会社のアドバイスを参考に、適切なリフォーム計画を立てましょう。
4. 入居者を募集する
物件の準備が整ったら、いよいよ入居者の募集を開始します。
賃貸管理会社と相談しながら、物件の魅力を最大限にアピールする広告を作成します。写真や間取り図、設備の詳細など、物件の特徴を分かりやすく伝える情報を用意しましょう。最近では、360度カメラを使用した内見動画やバーチャルツアーなども人気があります。
広告の掲載先としては不動産ポータルサイトが主流ですが、地域の情報誌やSNSを活用した宣伝も効果的です。特に一戸建ての賃貸物件は特定のニーズを持つ層をターゲットにすることが多いため、ターゲットに合わせた媒体選びが重要です。
5. 賃貸借契約を結ぶ
最後のステップは、入居者との賃貸借契約の締結です。
まず、契約書の内容を入居者と一緒に確認します。賃料や契約期間、敷金・礼金の金額、契約更新の条件など重要な項目を丁寧に説明し、入居者の理解を得ましょう。特に一戸建ての賃貸では、庭の管理や外構の扱いなど集合住宅とは異なる条件がある場合が多いので、これらの点について明確に取り決めておく必要があります。
契約時には、物件の現状を記録しておくことも重要です。入居時の室内の状態や設備の動作確認などを入居者立ち会いのもとで行い、写真や動画で記録しておきます。これは、退去時のトラブル防止にもつながります。
一戸建て・一軒家を賃貸に出す際の注意点
最後に一戸建て・一軒家を賃貸に出す際の注意点について解説します。これらの点を事前に理解し、適切に対応することで、安定した賃貸経営を行うことができるでしょう。
住宅ローンが残っている場合は事前に金融機関に相談する
住宅ローンが残っている物件を賃貸に出す場合、必ず事前に金融機関へ相談しましょう。多くの住宅ローン契約には、借主自身が居住することを条件とする条項が含まれているため、金融機関に無断で賃貸に出すと、契約違反となる可能性があります。
ただし賃貸を認められた場合でも、金利が上がる可能性や、追加の書類提出を求められるケースも。また賃貸期間中も返済を継続する必要があるため、家賃収入と返済額のバランスを十分に考慮することが重要です。
金融機関との相談結果によっては、一括返済や借り換えなどの選択肢も検討する必要があるかもしれません。専門家のアドバイスを受けながら、最適な方法を選択することをおすすめします。
家賃収入は課税対象となる
一戸建て・一軒家の賃貸経営で得られる家賃収入は原則として「不動産所得」として扱われ、課税対象となります。年間の総収入から、固定資産税、火災保険料、修繕費、減価償却費などの必要経費を差し引いた金額が課税対象です。※ただし家賃収入が年間20万円以下の場合は「雑所得」として申告できます
また家賃収入が発生すると、これまで受けていた住宅ローン控除が受けられなくなる可能性も。さらに固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税額が上がる場合もあります。
税務処理は複雑で、誤った申告をすると追徴課税などのペナルティを受けることになるため、賃貸経営を始める前に税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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一戸建て・一軒家の賃貸化には家賃収入や資産価値の維持といったメリットがある一方で、管理の手間や修繕費用などのデメリットも存在します。賃貸経営を始める前に自身の状況をよく見極め、専門家のアドバイスを受けることが大切です。
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